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平和な日常~夏~2

その後さよと木乃香達は何処に住んでるのかなどの世間話から少し話を始めるが、そんな彼女達を繋いだのは横島ではなくタマモだった。

現代に復活して以来タマモはさよと一緒に居た時間は夜を中心に多く、横島が居ない時にもいろんな話をしていたようである。

実際タマモがさよの実体化を秘密にすることや現代の常識をどこまで理解してるかは微妙だが、木乃香達とさよが仲良くなればもっと楽しくなるとは考えてるらしい。

さよの友達を増やすのをタマモなりに協力してるようだった。



「コロッケ作ったんだけど食うか?」

そのまましばらくして木乃香達とさよが落ち着いた頃、横島は何故か揚げたてのコロッケを持って来る。


「美味しそうですね~」

「確かに美味しそうだけど突然ね。 今日の日替わりメニューに加わるの?」

一応食べるかどうかを聞く横島だったが、いつものことながらコロッケはすでに皿に盛り付けされて木乃香達の前に出されていた。

さよは純粋に美味しそうだと喜ぶが、明日菜は相変わらず突然だと微妙に苦笑いを浮かべる。


「いや、新メニューの試作品だよ」

明日菜の問い掛けに横島は新メニューの試作品だと答えるが、明日菜は若干疑うような視線を向けていた。

それもそのはずで横島は相変わらず作りたい料理を作りたい時に作っては、試作品だと言いご馳走するのだ。

この日は木乃香達だけではなく、この時に同じく店に居た全員にコロッケを配っていく。

流石にあまり忙しい時間にはこんなことはしないが、比較的空いてる時間などにはたまにやることだった。


「そういえば、昨日の夜のテレビで美味しそうなコロッケ作ってましたね」

試作品の味見という名目でコロッケを配って横島自身も食べ始めるが、ふとさよは昨夜のテレビの料理番組で美味しそうなコロッケを作っていたことを思い出す。

ボソッと呟いたさよの言葉に木乃香と明日菜は横島がコロッケを作った理由を悟りクスクスと笑ってしまうが、流石に口に出してツッコミはしないらしい。

要は横島が食べたかっただけだったりする。


「コロッケって美味しいですね!」

「うん、おいしい」

一方のさよは昨日実体化したばかりなのでコロッケも始めてだった。

生前に食べたかは知らないが、記憶がないので本人は始めてだと思ってるらしい。


「ほんまに美味しいな~ じゃがいもの美味しさがようわかるわ」

微妙に危ない発言をしてるさよだったが幸い周りは気付くことはなく、じゃがいもの味が生かされた素朴なコロッケを堪能している。

それは昔ながらの素朴な普通のコロッケだったが、じゃがいもの味を最大限引き出すようなシンプルな物はなかなかないものだった。

まあ街に一般的に売ってるコロッケも十分美味しいが、横島がじゃがいもの味だけで勝負したコロッケはまた別格の美味しさがあったようである。

ちなみにこのコロッケはメニュー化など全く予定になく、横島は考えてもなかった。



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