このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

平和な日常~夏~2

そんな和やかな空気が流れる店内は、常連の大人や女子中高生達でそこそこ賑わって来ている。

しかし新しい客が店内に入るたびにタマモがお土産を渡すかどうかをみんなが注目すので、微妙な空気が時折流れるが決して悪い雰囲気ではない。


「えっ……、お土産?」

「貰ってええの?」

そしてお昼前くらいになると明日菜と木乃香が揃ってやって来るが、待ってましたと言わんばかりの笑顔で東京土産を貰って駆け寄るタマモに二人はやはり驚いてしまう。

わくわくとしながらも嬉しそうにお土産を手渡すタマモに、思わず笑顔を見せた二人はそのまま素直に受け取る。


(あの子本当に変わったわね)

タマモが受け取ったお土産を見つめながら明日菜は、ふとタマモが麻帆良に来た日を思い出す。

それはほんの半月ほど前のことなのに、まるで別人のように表情が違うのだ。

人見知りというか戸惑いや何かに怯えたような来た日のタマモが、微妙に忘れられなかったのである。

その変化は決して突然ではないし、木乃香達や常連の人達がタマモに優しく接した結果だと明日菜は理解してるが、それでも短期間でこれほど変わるとは思いもしなかったらしい。


(なんか、木乃香に似て来てない?)

まあタマモが明るく元気になったことに明日菜は不満がある訳ではないが、最近タマモが木乃香に微妙に似て来た気がしてならないようだ。

得に理由がある訳ではないが、なんとなく明日菜はそう感じるらしい。

実際に今のタマモは木乃香やさよの影響が比較的強く、常連や明日菜達への態度や笑顔なんかは木乃香の影響を受けたことは否定出来なかった。

タマモ自身は特別意識はしてないのだろうが、周りの人を見て自然と学習して成長してる証だろう。


「そうなんや~、楽しかったんやね」

一方の木乃香はタマモから昨日の話を聞いていた。

東京に観光に行ったはずが大半が食べ物の話だったことに思わず笑ってしまうが、いかに楽しかったかは話すタマモの表情を見ただけで分かる。


「はじめまして、氷室さよです。 よかったら友達になってください!」

そのままタマモの話を聞いていた木乃香と明日菜だったが、女性の相談を終えた横島がさよを紹介していた。

知り合いの娘で夏休みの間は麻帆良に居るからよかったら仲良くしてやって欲しいと告げた横島だったが、さよは例によって初対面で友達になってくださいと頭を下げる。


「ええよ。 うちは近衛木乃香や」

初対面で友達になってくださいと頭を下げたさよに木乃香は何の躊躇もなく返事を返すが、明日菜は変わった子だと密かに感じていた。

別に悪い子には見えないが、初対面で友達になってくださいという人は珍しいと思ったようである。


「いい加減にしないとそのうちボロが出るぞ」

「さよちゃんなら大丈夫だよ」

そして……、そんなさよと木乃香達のやり取りを見ていたエヴァは、飲み物を持って来た横島に呆れた様子で一言忠告していた。

横島としては大人しくしてるつもりだが、エヴァから見ると少しは自重しろと言いたくなるのかもしれない。



34/100ページ
スキ