このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

平和な日常~夏~2

おしゃべりをしながらの食事が終わると木乃香達は再び調査に戻るが、横島とタマモはそのままおしゃべりを続けている

しかしふとした瞬間にタマモは表情をピクリと動かすと、離れた本棚の影と横島を交互に見ては何かを訴えるように横島を見つめた。


(護衛に気付いたか。 風上に居る連中が迂闊なんだけど)

タマモが訴えてる異変は実は木乃香の護衛であり、横島は最初から気付いていたので頭を撫でて大丈夫だからと笑みを見せる。

護衛の人間も決して気を抜いたり未熟過ぎる訳ではないが、彼らが横島達の風上に居るのが問題だった。

まあ距離的にも普通の人間には気配や匂いなど感じられない程度には離れているので、明確な失敗ではないのだがタマモには気付かれたらしい。


(最近俺にバレるの気にしてなくないか?)

元々木乃香には最低限の護衛が付いているが、最近は横島にバレても仕方ないような距離にいることが多くなった。

横島を警戒対象から外してるのは分かるが、まるで気付いて欲しいと言わんばかりの距離なのだ。


(俺も使う気か?)

この件に関しては誰の指示なのかは横島も知らないが、あわよくば横島にも協力してもらいたいとの意志があることはほぼ確定だろう。

誰も横島に木乃香の護衛をさせたいとは思わないだろうが、最低限の情報交換というか万が一の時には知らせるくらいはして欲しいというのが本音だった。


(じいさんにはバレてるんだろうな)

木乃香に護衛が付いてることを横島がとっくに気付いていることなど、近右衛門もおそらく気付いているだろうと横島は思う。

刹那は騙せているだろうが刀子も薄々理解してる可能性が高いし、ある意味では横島を警戒してないというスタンスは同じ街に住む以上は必要なのかもしれないとも理解している。

自分の周囲に居る人間が護衛なのか監視なのかは、普通はなかなか判断が付かないものなのだから。

余計な敵を作ったりする可能性もゼロではないし、近右衛門が木乃香の護衛にどれだけ気を使ってるかは横島もよく理解していた。


(本当はあの子が友達として近くに居るのが一番なんだろうな)

そんな訳で現状では隠れながらも監視ではなく護衛だとのスタンスを取ってる木乃香の護衛だが、一番の理想は刹那が友達として近くに居ることだろう。

それだけで護衛の形がかなり変わり、余計な気苦労がかなり減るはずなのである。

刹那は良かれと思って影から護衛をしてるが、隠されると探したくなるのが人情なのだ。

堂々と友達として近くに居れば、余計な気苦労や護衛の手間がかなり減ることを刹那は理解してない。

まあそんな刹那の好きなようにさせてるのが、近右衛門や詠春の優しさなのだろうが……。


(壊すのは簡単でも守るのは難しいからな)

横島の立場からでさえ苦労が見える近右衛門に思わず同情してしまうが、かと言って横島には変わってやることなどできるはずもない。

現状の横島に出来るのは、万が一の時に備えて土偶羅に準備と警戒をさせる程度だろう。

将来的には協力するのが理想だが、それもまた慎重に行動しないと余計な問題を起こしてしまう可能性もゼロではない。

結局横島は細かい裏の駆け引きはほとんど土偶羅に丸投げであった。



9/100ページ
スキ