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平和な日常~夏~2

「別に特別なことはしてないぞ。 普通の調理法だよ」

そんな木乃香の料理について会話が進む中、味が似て来てると言われた横島自身は特別なことは教えてなかった。

ただ要点はきちんと教えているし、横島の調理法を真似てる木乃香の味が近くなるのはある意味自然なことであろう。

そもそも料理とはほんの僅かな調味料や火加減で、味ががらりと変わってしまう物である。

要点を教えたからと言って作れるのは紛れも無く木乃香の実力だった。


「これ、おいしい」

「それはウチのお母様が送って来てくれた漬物なんよ。 京都の名産品や」

一方木乃香本人はと言えば相変わらずマイペースなままであり、タマモの世話を焼きつつ自分も食事を楽しんでいる。

タマモの取り皿に料理を取り分けてあげる姿は、幼い妹を世話する姉のようであった。


「そういえば、例のポテトが学食でも販売されると聞きましたが?」

「らしいな。 元々学食には雪広グループが入ってるらしくってな。 それに超包子共々、料理を独占するつもりはないらしい」

そのまま食事が終わりに差し掛かる頃、夕映はふと思い出したかのようにポテトの話を持ち出す。

実は麻帆良祭で販売した味付きポテトが、麻帆良学園の学食のメニューとして販売すると噂になってるらしいのだ。

そんな噂の真相を尋ねた夕映に、横島はあっさりと公表直前の情報を話してしまう。

雪広グループと超包子で販売された味付きポテトは結構いい売れ行きを記録してるらしく、麻帆良学園の学食にも欲しいとのリクエストが上がっていたようだった。

それと言うのも麻帆良学園の学食は常時アンケートのような物を置いており、メニューのリクエストをすると本当にメニュー化されることも多いのだ。

無論メニュー化出来ない料理もあるし一部には学食棟などの大規模な学食にしか採用されないメニューもあるが、今回のポテトは麻帆良学園の全学食での提供が事実上決まっているらしい。

この件に関しては実は最近の雪広グループでの会議の議題に上がっており、横島とタマモも一応参加していたので内容を知っている。

基本的に雪広グループも超包子も麻帆良祭関連の料理を独占販売するつもりはないらしく、学食での販売にも前向きだったのだ。

それは両社の自信の現れでもあり、今後の戦略の一つでもある。

最もフレンチカレーならともかく味付きポテトは、その気になればプロでなくとも作れるほど簡単なのだ。

学食で下手な類似メニューを出されるよりは、本家本元の味を広めたいとの思惑があったりする。


「噂は本当だったのね」

「そもそもあれは専門機関でスパイスを調べれば、簡単に真似できるからな。 いっそ麻帆良中に広めて麻帆良名物みたいにすればいいんだ」

学食のメニュー化の噂が本当だったことにハルナやのどかは驚くが、横島はそのまま麻帆良名物にでもすればいいと考えてるらしい。

ただこれは横島の私案であり雪広グループとの会議では話してない。

しかし雪広グループと超包子もまた同じ方向性で戦略を進めてることを、実は横島も知らなかったりする。




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