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平和な日常~夏~2

木乃香達と合流した横島とタマモはそのまま電車と徒歩で図書館島へ向かうが、タマモは横島と手を繋いで楽しそうに歩いている。

基本的に横島とタマモが店件自宅から出るのは買い物か用事がある時くらいであり、タマモは一緒に外出できることが嬉しいらしい。


「ここが図書館島の図書館です。 ここは広くて大人でも迷子になるので気をつけてください。 あと見たい本があったら私に教えてください。 時々罠があって危険ですから」

「うん、わかった」

さて図書館内部に入った夕映は、さっそくタマモに基本的な注意事項を教え始める。

罠があることや迷子になることなど図書館探検部の常識を教えるのだが、タマモは素直に聞いて返事をしていた。


「本当に素直でいい子ね」

「話したことはきちんと理解してくれてるですよ」

夕映の話を素直に聞いて返事をするタマモにあまりタマモを知らないハルナは驚くが、夕映達は日頃からよく一緒にいるだけに慣れたものだった。

時々理解出来ないことがあるのは当然知っているが、注意されたことなどを無視するようなことはしたことがないのだ。


「みんな、たのしそうだね」

「そうだな。 みんな本と図書館が好きなんだよ」

一見すると普段と変わらぬ夕映も図書館探検部になると瞳を輝かせて張り切っている。

タマモはそんな夕映やのどかの表情の変化を理解して、みんなが楽しいと自分も楽しくなるようだった。


「ほんがいっぱい…… それにくうきがとってもきれい」

そのまま横島達は地下へと進んでいくが、歩いても歩いても見渡す限りに並ぶ本の数々にタマモは圧倒されてしまう。

時々クンクンと臭いを嗅いでいるが、図書館島の地下は図書館とは思えないほど空気が綺麗であり図書館独特の臭いはしない。

図書館島の図書館で独特の臭いが僅かにあるのは地上部分だけであり、地下に行けばいくほど新鮮な空気になることがタマモは不思議らしかった。


「そういえば地下なのにジメジメもしてないですね」

「改めて考えると不思議な場所よね~」

タマモの何気ない言葉に夕映達も空気が綺麗な状況を多少不思議に感じてしまったらしいが、それはある意味考えても無駄なことである。

そもそもいつどうやって地下を広げたのか分からないというのもおかしな話なのだ。

実は図書館探検部にはその手の図書館の秘密を探る者達も多く、何か図書館島には秘密があるのではと考える者も少なくないらしい。

ただ麻帆良学園の公式見解では戦後のドサクサに紛れて図書館島の資料が紛失したことや、戦前や戦中に外国の貴重な本などを軍から守る為に図書館の地下の実態をよく分からないように建造したらしいとの説明がなされている。

正直苦しい言い訳にも聞こえるが、認識阻害の魔法などを用いることにより問題にはならないようにしてるらしい



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