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平和な日常~夏~

その結果の問題はタマモの服を買うか作らせるかである

正直作らせるのもさほど難しい訳ではないのだが、買いに行く方が手間がかからなくて早いのは確かであった

結局横島は何着か服を買いに行こうと木乃香達が帰ると同時に早めに店を閉めるのだが、ここで一つ予想外なことが起きる


「あっ、お帰りなさい~!」

「ポー!」

買い物に行こうと二階に上がった横島だが、目の前の光景に素直に驚いてしまう

二階のリビングにはたくさんの生地が散乱しており、すでにハニワ兵がタマモの服を作っていたのだ

どうやらさよも生地の色を選んだりするので協力したらしく、二人は楽しげに服を作っている


「タマモちゃん着替えがないじゃないですか。 ハニワさんとお話してて可哀相だから作ったんですよ」

始めにどちらが言い出したのかは知らないが、さよとハニワ兵は自発的にタマモの服を作っていたらしい

ちなみにこの件については横島も土偶羅も命令してないので、完全に二人の自発的な行動である


「お前、縫製の技術なんてあったのか?」

「ポー」

予想もしない行動を起こしたハニワ兵だが、どうやら趣味らしい

元々兵鬼であるハニワ兵は技術をプログラムすることにより会得出来るが、最近暇な為に趣味的な能力や技術を会得してるハニワ兵が多いようだ


「うわ~、よく似合いますね!」

「わたしの服?」

そのままさよに促されたタマモはその場で出来ていた服を着てみるが、キョトンとした表情で首を傾げる

残念ながらリビングには鏡がない為に自分では分からないらしい

タマモが着たのはあまり派手ではない大人しめのワンピースだが、白い肌と金色の髪によく似合っていた


「こっちはパジャマか~ お前、なかなかセンスいいな」

ワンピースの他にはパジャマや下着なども作っていたが、パジャマには可愛らしくデフォルトされた狐の刺繍が胸に施されており本当によく出来ている


「わたしの服…… ありがとう」

その間にタマモは洗面台の鏡で服を見に行っていたのだが、よほど気に入ったのか戻って来た時は笑顔だった


「ポー!」

そんなタマモの様子にハニワ兵もまた嬉しいらしくコミカルに喜びを表現するが、彼は靴だけは作れないと横島に訴える

どうやら技術的に違う分野の靴は作れないらしい


「じゃあ、今から靴を買いに行くか。 さすがに靴は買った方が早いしな」

結局ハニワ兵に言われるがままに靴を買いに行くことにした横島とタマモだったが、どっちが主人か分からぬ立場になってる事に横島は気付いてなかった

そんな訳で街に出て靴屋を探す横島だったが、時間的に靴屋はすでに閉まっており仕方なく車で麻帆良の外に靴を買いに行く

タマモは始めて乗る車に当然興味を示すが、車から見える景色が自分の全く知らない景色であることには多少不安な様子でもあった

加えてやはり本能的に自然が好きなようで、麻帆良を出ると増えるネオンや街の明かりの多さにビックリしている

夜なのに明るい街そのものが驚きというかカルチャーショックなのは想像に難しくない



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