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平和な日常~夏~

さてお昼を過ぎた店内では、タマモが二匹の子猫と向かい合っていた

二匹は桜子の飼い猫であるビッケとクッキなのだが、麻帆良祭期間中は店に来れなかったが終わると再び店に遊びに来るようになっていたのだ

そんな二匹がいつものように遊びに来たのだが、何故かタマモと二匹はしゃがみ込んで見つめ合っている


「わたしはタマモ」

ニャーと鳴き声を上げる二匹に自己紹介をしたとこを見ると初対面の挨拶をしてるらしい


「よう、お前ら今日は早いな」

そんなタマモと二匹の元に横島はおやつ代わりのミルクを持って現れる

タマモは相変わらず二匹とぽつりぽつりと会話をしてるが、店に客が居ないので横島も問題にしてない

というかタマモが猫に話し掛けても割と違和感がないのに横島は気付く

タマモが猫と話せるからちょっと危機感を感じた横島だが、よくよく考えてみると割とよく見る光景だった


「おっし、暇だしみんなで遊ぶか」

そのまま暇だった横島も加わり二人と二匹はボールや猫じゃらしなどで遊ぶのだが、タマモもビッケもクッキも素直に楽しそうである

時々客は来るのたが普段横島が子猫と遊ぶ姿に見慣れてるからか、タマモが二匹と遊んでいても特に騒ぎにはならなかった



「うわ、本当に可愛い子ね」

「お人形さんみたいや」

そのまま時間が過ぎると、学校が終わった明日菜と木乃香が息を切らしながら店に入って来る

いろいろと騒動になったことや現状を説明する為に学校が終わってすぐに来たらしい


「はじめまして、うちは近衛木乃香や」

「……タマモ」

店に入った早々にタマモに駆け寄る明日菜と木乃香だったが、基本的に子供が苦手な明日菜は見てるだけであり木乃香の方が積極的に話し掛けていた

最初は戸惑う表情を見せたタマモだが、木乃香の名前を聞くと戸惑う表情が何故か消えていく

無論猫達に対する時よりは距離感はあるが、実は庭の猫達やビッケとクッキの話から木乃香はいい人だと聞いていたのだ

加えて横島の表情もチラチラと見ており、木乃香と明日菜が横島にとってどんな相手なのかもしっかり見ている

タマモ本人はそこまで深く考えた行動ではないのだろうが、自然に自分の周りの人間関係を観察するのは彼女の本能なのかもしれない


「困ったことがあったら言うてな。 うちらに出来ることならいつでも力になるわ」

そんな無口なままじっと見つめるタマモの視線に気付いた木乃香は、優しい口調で話し掛けて仲良くなろうとしていた

何か訳ありな子供なのかと考えた木乃香は優しくしてあげないとダメだと考えたようだが、そんな木乃香にタマモは少し不思議そうであった


「おっ、木乃香ちゃんには懐いてるな」

「あれのどこが懐いてるのよ」

「ちょっと人見知りが激しくってな」

一方木乃香とタマモのやり取りを見ていた横島は単純にタマモが不安にならない木乃香に感心するが、明日菜から見ると間違っても懐いてるようには見えない

しかし人に対しては警戒心があり先程までは不安げな表情も多かっただけに、木乃香への対応は好意的に見える

ただ木乃香と明日菜は人見知りが激しいと聞いて、やはり訳ありかと勘違いを深めたのは言うまでもない



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