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平和な日常~夏~

「よく食べますね~」

「ぽー」

その後横島はカップ麺にお湯を入れて寝室に持って行ったが、当然リビングに居たさよとハニワ兵にも気付かれてしまう

いつの間にか部屋に子狐が居たことに驚くさよに、横島は自分の友達だと紹介していた

突然見知らぬ幽霊と不思議なハニワが現れたことに子狐は驚くが特に警戒する様子はない

横島がさよを同居人だと告げると、子狐は若干不思議そうに横島達を見るだけだった

子狐としてはそんなことよりもまずは食べ物が欲しいらしく、目の前に置かれたカップうどんの油揚げだけを次々に頬張るように食べていく


「足りるか? 足りないならもっと用意するが……」

おあげが無くなったカップうどんの麺を食べる横島は、最後の一枚を食べ終えた子狐に追加を尋ねるが子狐は横島の顔色を見て迷っている

本心ではまだ足りないのだろうが、お腹がある程度満たされるとさすがに遠慮するらしい


「えっ!?」

「キュ!?」

子狐が迷った表情を見せた次の瞬間、子狐の目の前には大量の油揚げがざるに山盛りで突然現れる

その摩訶不思議な出来事に子狐とさよは同じタイミングで身体をビクッと震わせて驚くが、横島とハニワ兵は特に驚く様子はない


「遠慮しないで食っていいぞ」

驚く一匹と一人に横島は若干苦笑いを見せつつ子狐に油揚げを勧める

実はこの油揚げは横島が用意したのではなく、異空間アジトから土偶羅が勝手に転送して来た物であった

基本的に横島の行動は全て土偶羅が見ており気を効かせたらしい


「……今のは何なんです?」

子狐はそんな横島の言葉に多少迷いを見せたが、素直に山盛りの油揚げを食べ始める

しかしさよはあまりにも不思議な現象に横島に説明を求めていた


「さよちゃん、世の中には不思議なことがいっぱいなんだぞ。 細かいこと気にしたら負けだ」

「そうなんですか?」

「ぽー!」

目の前の超常現象に不思議そうなさよに、横島はろくに説明もせずに気にしたら負けだと言い終えてしまった

ついでにハニワ兵も同意するようにコクコクと頷くと、さよはそうなのかとなんとなく納得してしまう

そのまま油揚げをムシャクシャと食べる子狐を見ていた横島達だったが、ざるに山盛りだった油揚げを子狐は全て食べ終える

そのあまりの食欲にさよは野生の狐は油揚げが大好きだと誤解をし始めるが、次の瞬間にさよだけでなく横島とハニワ兵も驚きに満ちた表情になっていた


「あれ……予想より……」

「可愛い子ですね」

「ぽー!?」

食べ終えた子狐は突然光に包まれると人間の姿に変化するが、問題はその変化した姿であった

横島としては記憶にあるタマモに近いだろうと考えていたが、どうやら子狐はタマモよりも幼いらしく三歳くらいにしか見えない

先程の油揚げに続き子狐が子供に変わったことで最早これは夢かと勘違いするさよとは別に、横島とハニワ兵も予想外の幼さに驚いてしまう

しかも何故か彼女は着物姿であり見た目はタマモとうり二つだが、その幼さ故か表情は柔らかい子供にしか見えなかった


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