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真の歴史へ・その四

(軸になるべき人が居ないわね)

一方西条に会議の進行を任せた美智恵は席に座ったまま考え込んでいたが、現状は相変わらず厳しかった

未来においては令子が軸となりチームになっていったのだが、肝心の令子は経験不足な上にお金が儲からないオカルトGメンの捜査官ではやる気を見せない

加えて令子を支えて欠点をフォローしていた横島とおキヌの存在が居ない点が、日を過ぎる毎に大きく影響している


(あの三人は本当にバランスがよかったのよね)

未来において奇跡的な活躍を成して行った令子・横島・おキヌの組み合わせの凄さを、美智恵は改めて感じてしまう

現状の令子はオカルトGメンの一捜査官でしかなく、間違っても軸になるような活躍などできないのだから


「それで、いくら出すんじゃ?」

西条の説明が止まった隙に、話を聞いていなかったカオスが本題に入っていた

仕事として呼ばれた以上、カオスとしては報酬がいくらかにしか興味はない


「わかった。 犯人逮捕に成功したら三千万出そう」

オカルトGメンへの協力は基本的に報酬が非常に安かった

経費などはオカルトGメンが負担してくれるが、報酬は僅かな謝礼金のみである

まあ僅かと言っても一般社会の日当以上は出るのだが、危険性が高いオカルトGメンの依頼の報酬としては安すぎた


「うむ、少し安い気もするがまあいいじゃろ」

三千万の金額にカオスは多少不満だったようだが、一応納得したようだ

ちなみに未来より随分安いが未来に比べるとまだ被害者の数が少ないことと、未来ではここで令子にいいところを見せるため見栄をはっていたが今回はそれがないためである


「ねえ西条さん、私が逮捕しても三千万貰えるのかしら?」

「令子」

お金の話になると目の色が変わり西条に熱い視線を送る令子に、美智恵は冷たい苛立ちを込めた言葉で黙らせてしまう


(全くこの馬鹿は……、いつまでたってもお金に汚いのが治らないんだから……)

不機嫌そうに令子を睨む美智恵だが、彼女は以前から令子の金銭感覚やお金に対する異常な執着を改善させようと教育していたが一向に治る気配がない

美智恵としては金銭欲を捨てろとは言わないが、他人から見て分かるような金銭欲は無くすように教育していたのだ

守銭奴美神令子はオカルト業界では有名だし、下手をすると一般人でも知っていたりする

お金を儲ける以上にイメージ的なマイナス面が多いことから改善したいのだが、治るはずがなかった


「えーと、それではさっそく明日にでも現地に向かい捜査を始めたいと思います」

美智恵の一言で重苦しい空気が支配する中、西条は明日からさっそく現地に入り警察の捜査に協力することを告げる

美智恵と令子の親子の険悪な空気に唐巣や冥子は困った表情だが、西条は最早慣れたもので淡々と進行していく

まあ日頃美智恵と令子の板挟みに苦しむ西条にとっては、この程度の険悪な空気など無いに等しかった


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