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平和な日常~夏~

「そういえば先日のお礼もまだしてませんでしたね」

テラスに現れた千鶴を横島は素直に歓迎すると、千鶴は横島から少し離れた場所まで進み同じように庭を眺め始める

ほろ酔い気分の横島は相変わらずヘラヘラとしているが、千鶴はふとストーカーの件のお礼をしてなかったと言い出す


「なんのことだか知らんが、大人になったらデートでもしてくれればいいぞ」

「私のこと子供扱いするのは貴方だけですよ」

突然お礼と言われた横島はさも当然のように大人になったらデートしたいと言うが、千鶴はあまりに予想外の言葉に素直に笑ってしまう

教師や親しい友人ですら大人として扱う千鶴を今だに子供扱いするのは、はっきり横島一人だった


「そうか?」

千鶴の言葉に横島はチラリと千鶴を見るが、確かに大人も顔負けのスタイルと色気は隠しようがない事実である

しかし精神的なモノが木乃香達と大差ないのは、当然横島には見えてしまう

見た目と中身が違う者はある意味かつての仲間にも居たし、横島は割とそんな人との付き合いに慣れてもいた


「本当に私が子供に見えますか?」

「そんな嘘ついてどうするよ。 確かに見た目は大人よりも大人らしいけど、内面は年相応にしか見えんがなぁ~」

相変わらず子供扱いする横島の真意を探る千鶴だったが、横島の言葉には驚きで返す言葉が浮かばない

見た目の成長を認めつつ子供扱いする横島の意見は、千鶴の両親や祖母などと同じものだった

両親や祖母は千鶴を決して大人とは見なさないのだから


「姿が見えないと思ったら……」

「那波さんってあんり浮いた噂なかったんだけどね」

一方横島が消えた室内では、2-Aの半数近い少女達が横島と千鶴の様子をドキドキしながら覗いていた

先程まで騒いでいただけに横島が居なくなるとすぐに分かり、誰かがテラスに出た横島を見ていたらしく様子を見に行くと千鶴と二人で居たのだ

その結果あっという間に少女達が集まっている


「ストーカーの件からなんか距離感変わってない?」

「横島さんって女の人ダメなのに手は早いのよね」

そんな中で美砂は横島と千鶴の距離が確実に縮まった事を確信するが、明日菜から見れば割とよくある光景だった

知らず知らずのうちに横島が女性と親しくなんてるなんてことがよくあるらしい


「占いのお客さんも今だに来るんよ。 半分は人生相談みたいになってるみたいなんや」

「あれで女の人が苦手でなかったら、間違いなく女の敵になるです」

誰かのカラオケが響く中で美砂や明日菜に加え木乃香や夕映まで加わり横島のことを話すが、彼女達の視線は横島と千鶴にくぎ付けだった

横島が女が苦手なのは理解してるが、自分達で一番大人っぽい千鶴ならば何かあるのではと不安と好奇心が入り混じった気持ちなようである



「ところであいつら隠れてるつもりなかな?」

「そうだと思いますよ。 マスターは人気者ですわね」

「面白がってるだけじゃないか?」

少女達は大勢で隠れてるつもりで覗きながら噂話に華を咲かせるのだが、それは当然横島と千鶴にはまる見えだった




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