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平和な日常~夏~

話し合いも数分で終了して詳しい話は後日することで合意した横島は、再び打ち上げが行われてる会場に戻っていた


「始めから協力の話があると予想されてたのですか?」

酒とつまみを選び少女達のカラオケに耳を傾けていた横島に、少し申し訳なさそうな夕映が先程の会話の先を尋ねていく

予想されてもおかしくはないと考えていた夕映だが、それでもアッサリと決まり過ぎたことが少し気になったらしい


「まあな。 正直言えば必要ないんだろうけど、向こうにも世間体って言うか体裁はあるしな。 俺は気にしないけど、向こうの社員がどう思うかは別問題だし」

夕映の疑問に答える横島だが、商品の開発なんかは本業の雪広グループで十分出来ることは十分理解している

ただ横島が考えたレシピを横島抜きで開発すれば、雪広グループ側が力関係でそうさせたのではとの疑惑が上がることは想定していたことだった

横島は必要以上に金儲けをするつもりはないし忙しくもしたくないだけなのだが、そんな横島の心情を他人が理解するとも思ってない

結局横島は雪広側に主導権を渡して、自分が間接的に関わる程度ならいいと始めから想定していた範囲内の結果である


「あの……、すいませんでした」

「二人が謝ることじゃないよ。 なるべくしてなった結果だしな」

この件に関して横島が断りにくい環境を作ったのは夕映と木乃香だった

二人は横島がそれに気付いていると考え謝るが、横島は逆に少し困った表情になる

彼女達の立場だと当然友人であるあやかに協力するし、基本的に横島にも決して悪い話ではないのだ

まあ二人は立場上横島があまり忙しくならないように上手い着地点を見つけたのだと言える訳だし、横島は文句を言うつもりはない


「マスター! いつまでも飲んでばっかりいないでカラオケしよっ!!」

「おっしゃ! 任せとけ!」

微妙に空気が沈みかけた頃ちょうどよく横島を発見した美砂がカラオケの誘いにくると、横島はそのまま美砂の誘いに乗りカラオケに行く

夕映と木乃香の二人がそんな横島のあまり気にしてない様子にホッとしたのは言うまでもない


その後横島は美砂に誘われたカラオケを始めるのだが、何故か微妙に似てるモノマネで歌うなど自由気ままに騒いでいく

相変わらず多芸な横島だが似てるレベルが微妙なところが余計に笑いを誘い、いつの間にか宴会芸を披露することになってしまう

超包子や雪広グループの人間は麻帆良祭期間中に横島が働く姿を見た者には、そのあまりのギャップに驚く者も多いが今更なことであった



「ちょっと騒ぎすぎたかな」

それからしばらくして会場では横島に乗せられるように他の者達もますます騒いで行き、横島は休憩するためにテラスに出て夜風に当たっていた

目の前に広がる庭園の景色は昼とは違った印象を横島に与え、照明や屋敷の明かりで光のコントラストを表現している


「あら、先客ですね。 よろしいですか?」

しばらく庭を眺めていた横島だったが、そんな時テラスに出て来たのは千鶴だった



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