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平和な日常~夏~

日が暮れると中高生は帰ってしまい一気に客層が変わってくる

まあ部活帰りの少女達が寄ることはあるが、基本的にはあまり多くはない

仕事帰りの大人や近所の人が少し訪れゆっくりするが、夕方とは一転して静かな店内だった

この時間になると横島は更に暇になり、余り物をつまみに酒を飲み始める

店は相変わらず酒のメニューは存在しなかったが、すでに常連はほとんど知る裏メニューの扱いになっていた

正直あまり酔っ払いが集まるのも面倒なため、横島は酒類をメニューに載せる気は全くないらしい


「いらっしゃい」

そんな頃店にやって来たのは、シスター姿のシャークティと美空とココネの三人だった


「あっ……」

「久しぶりだな、お嬢ちゃん」

店に入るなり横島を見て驚くココネに横島もまた驚くが、ココネと横島が知り合いだったとは思わなかったシャークティと美空の方が驚いていたかもしれない


「まさかココネがマスターを知ってたとは…… 珍しいね」

「前にさくらんぼをくれた人」

驚きどこで知り合ったのか尋ねる美空に、ココネは以前さくらんぼを貰ったと一言告げるが美空はイマイチ覚えてないようだ


「なんかあったんっすか?」

「近くに来たので寄っただけよ」

驚きと共に話が弾むがシスター服を来た三人に横島は何か用があるのか尋ねるが、たいした用はなく何かのついでに寄っただけらしい


「いろいろと派手にやってるらしいわね。 噂は聞いてるわよ」

「いや~、どんな噂か聞くのが怖いっすね。 おかしな噂されてるみたいっすから」

シャークティ達が頼んだ飲み物を運んで来た横島はそのまま立ち話をするが、シャークティは少し意味深な笑みを見せてクスクス笑っている


「もったいないよね~ モテるのに女の人が苦手なんだから」

「そうなの?」

「そうそう、だから優しくしてあげないとダメだよ」

一方美空はココネに横島が女の人が苦手だとの話を教えながら笑っていた

最早横島が否定しようがしまいがそれが真実として広まっているのだ

そんな美空に話を聞いたココネは、可哀相と言いたげに横島を見つめてしまう


「女が苦手なのは違うって言ってるだろうが」

「あら違うの? 私もそう聞いたわよ」

「ダメっすよ、シスターシャークティ。 本人はそう思って頑張ってるんっすから優しく見守ってあげないと」

例によって横島はココネに女の人が苦手なのは違うと否定するが、そこにシャークティまでもが噂を真実だと思っていたらしく突っ込み、更に美空に横島はそう思って頑張ってるのだと言われる

結局シャークティとココネに優しく見守られるという奇妙な状況になるが、横島は最早笑ってごまかすしかなかった


(なんでこんな風になるんだ?)

始めの頃は噂だしそのうち消えるだろうと考えていた横島だが、すっかり噂が真実になっている

このままその噂がどこまで進むのか、横島は興味と恐さが入り混じった気分だった



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