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平和な日常~夏~

「すっかり以前の姿に戻りましたね」

それから数日が過ぎた日の夕方、学校が終わりいつものように横島の店を訪れた夕映は思わず苦笑いを浮かべて一言呟いていた

麻帆良祭は準備期間から本番終了まで本当によく働いた横島だが、終わった途端まるで別人のように働かなくなったのだ

暇つぶしをするバイトのような横島の姿は、とても同一人物と思えないほどである


「お客さんにゆっくりくつろいで貰うのがうちの店のモットーだからな」

「そうなん? 初耳やわ~」

「今日からのモットーだからな」

夕映の呟きに言い訳をする横島の言葉をバイトとして働いていた木乃香は素直に信じてしまい驚くが、横島が今考えたと言うと木乃香は笑い夕映は呆れた視線を向けていく


「人気投票の件ですが、得票を合わせることで決着が着いたようです。 別々だと中等部部門の二位で大学部部門の三位になるので合わせないとおかしな結果になるところだったようです」

暇そうな横島に夕映はこの日決まった人気投票の最終結果を伝えるが、結局は得票を合わせることで落ち着いたらしい

まあ得票を合わせないと大学部の三位に中等部のクラスが入る為に一緒にするしか無かったようだ

一部からは超包子や雪広グループの関与度合いから中等部の部門にそのまま全ての得票を入れていいのかとの疑問の声も上がったらしいが、一応規則は守ってるので外す理由には弱かったようである

ちなみに最終的な得票数は中等部の歴代一位をたたき出してしまい、良くも悪くも注目を集めていた

しかも麻帆良学園全体の総合順位でも一位になってしまい、こちらも史上初の快挙となっている


「そりゃ凄いな!」

「人事のように言わないで下さい。 そもそも半分くらいは横島さんの功績なんですよ」

史上初の快挙を二つも成し遂げた2-Aだったが、評価のポイントは大きく分けて二つあり一つが料理で一つがインテリアだった

すでに代表的な料理となった麻帆良カレーを始め、横島が気分で次々と増やした新作や限定料理も評価されている

もう一つは立体映像を主体としたインテリアもまた評価が高いポイントである

アトラクションとレストランを融合させたような高い総合力が評価されたのだが、実情は横島と超鈴音の個人的な活躍だとはあまり知られてない

まあ立体映像が超鈴音絡みなのは有名だが、料理に関しては超包子と2-Aと横島の共同開発になっており発案者がほとんど横島な件は伏せられていた


「俺はちょっとアイデア出しただけだよ」

「そのちょっとが出来る人がなかなか居ないんですよ。 横島さんのこと広まるの時間の問題ですよ」

横島はあくまでも自分は脇役だと主張するが、そんな話が世間に通用するはずがない

木乃香達はともかく雪広グループ側や超包子ではすでに横島の腕前は知られているし、中高生の女の子にもそこそこ知られているのだ

発案者の名前が世間に広まるのは時間の問題だった


「そいつは困ったな…… 商売変えるか?」

本人があまり望まなくとも名前が知れ渡る可能性を指摘した夕映に、横島は少し考えて商売を変えようかと本気で悩み始める

そんな横島を夕映と木乃香が慌てて止めに入ったのは言うまでもない

妙に行動力がある横島なだけに、明日には本当に店を閉めてそうで怖かった彼女達の直感は正しいだろう



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