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幻の初恋

その頃…

妙神山の小竜姫は夢を見ていた…

いつも見る小さい頃の夢を…

小さい小竜姫は誰かに優しく抱かれていた

あの優しく温かい手の温もりをいつも夢見ていた…

「大きくなったらデートしような…」

その人物はいつも夢の中で小竜姫と約束していた…


小さい小竜姫は必死にその人に話しかけるが……

いつも夢はそこで終わる……


「また、あの夢ですね……」

小竜姫は少し寂しそうだが幸せそうな笑顔で微笑んだ


夢か現実かもわからない、人の夢を小さい頃からずっと見ていた…

もう何百年も前の夢を…

いくら探しても見つからなかった人の夢を……



その日横島は、チビ小竜姫を連れて朝早く妙神山に向かった


妙神山麓の山道に入ったら、横島はチビ小竜姫を肩車して行った


「どこいくの?」

チビ小竜姫は肩車にご機嫌で聞いた

「小竜姫ちゃんお母さんがいるんだよ」

横島は笑顔で話した

「寂しくないかい?」

横島はチビ小竜姫に聞いた

「うん… お兄ちゃんがいればだいじょうぶ…」

チビ小竜姫は元気に話した


「そっか~ さすがは小竜姫様の隠し子だな~」

横島はチビ小竜姫を完全に隠し子と思っていた


横島は長い道のりを超えてやっと妙神山にたどり着いた

「おっ! 横島ではないか~ 久しぶりだな~」

妙神山の門には相変わらず鬼門がいた


「小竜姫様いるか? ちょっと話があるんだが…」

横島が話すと…


キィー


門が開いた

「あら、横島さん… 今日はどうしましたか?」


久しぶりに現れた横島を小竜姫は笑顔で迎えた

「小竜姫様の隠し子が迷子になってましたよ」

横島は小さな声で小竜姫に話した…

「……隠し子? 誰のです?」

小竜姫は不思議そうに横島を見た

「小竜姫様の隠し子ですよ。 俺のアパートの近くで迷子になってましたよ」

横島はそう話して、後ろに隠れていたチビ小竜姫を抱き上げて、小竜姫に見せた

「………えーー!!」

小竜姫の驚きの叫びは辺りの山に響き渡った…


「こわいよ…」

チビ小竜姫はあまりの大きな声な横島にしがみついていた


「小竜姫様、そんな驚かなくても… 自分の子供でしょ?」

横島は苦笑いして話した

「私に子供はいません!! もちろん隠し子も!!」

小竜姫は横島に必死に言った


「えっ…… 小竜姫様の子供じゃないの? 小竜姫ちゃん、お母さんだよね?」

横島は驚きチビ小竜姫に聞いた

「ううん… 違うよ…」

チビ小竜姫は首を横に振り言った


「…………」


辺りは沈黙に包まれた

それから横島とチビ小竜姫は妙神山の母屋に座っていた


横島はチビ小竜姫を見つけた状況を説明した


「いや~ 小竜姫様にそっくりだから、てっきり隠し子かと…」

横島は勘違いに気が付いて苦笑いして謝っていた


「全くもう… 私は独身です。 第一、母親と名前が同じはずないじゃないですか…」

小竜姫は呆れて横島を見た

チビ小竜姫は相変わらず、横島の膝の上に座っている


「じゃあ、小竜姫様の親戚ですか?」

横島はチビ小竜姫を見ながら話した


「確かに私にそっくりですよね… でも、竜神族に小竜姫は私一人ですよ?」

小竜姫は不思議そうにチビ小竜姫を見た

「えっ!? じゃあこの子は?」

横島と小竜姫は首を傾げて考えだした


「来週には老師とヒャクメが天界から戻ります。 パピリオも来週まで魔界のベスパの所に行ってますし… 来週老師とヒャクメが帰ってくれば調べられますが……」


小竜姫は困ったように話した

「じゃあ、来週までここで預かって貰えますか?」

横島は少し考えて小竜姫に話した

「それしかないでしょうね… 成人前の竜神族を人間界に連れて行くのは危険ですし…」

小竜姫は少し困ったが、承諾した

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