プロローグ

横島が訪れたのは大きな大木を中心にした平和な街だった

そこは前の世界には無かった蟠桃の木を中心にして作った街であり、興味があったのである

世界の構成自体はそれほど前世界と変わりなくその街も日本の埼玉にあるのだが、麻帆良と言うその都市は前世界には無かった街だった


「なんで町並みがヨーロッパなんだ?」

本来は神界や仙界にあるべき蟠桃を中心にした街は、何か不思議な違和感がある街である

まるでヨーロッパののような建築物の数々に、横島は不思議な気分になってしまう

かつてと同じジーンズに身を包んだ横島は平和な街をあてもなく歩くが、最初の問題はお金だった


(現金は無いんだよなー まああってもあっちの世界のお金を持ち込むのはまずいか)

現在横島は現金の持ち合わせは全くない

それは異空間アジトも同じで、かつて神魔人界で戦争が起きる寸前に現金の類は全て純金や物資に変えてしまっている

まあ横島の行動ではなく、かつての仲間である美神令子達の金持ち組の行動だったが

世界の情勢の変化を敏感に感じた彼女達は、神魔戦争が始まる寸前に資産を全て売り払い純金や物資に変えていたのだ

その後彼女達の資産は、ルシオラの記憶に封印されていたアシュタロスの遺産とも言える異空間アジトを横島が発見するとそこに全て移されている

令子やエミや六道などの人間組のみならず、妙神山の資産なども全て移された為に異空間アジトにはかなりの資産があるが……

横島はそれに手を付けるつもりは無かった

まあ資産は全て横島に譲られた物であるが、横島は出来るだけ使いたくない

まあ異空間アジトには持ち込んだ物資以外にも異空間アジト内で産出される金銀宝石の類もあるが、こちらも横島はあまり使う気はない

異空間アジト自体はアシュタロスの遺産と共に三姉妹の魂の一部を受け継ぐ横島が継承者なのだが、横島本人にはあまり自覚がないのである



ちなみに今の横島は十一人の魂の一部を継承していた


美神令子

氷室キヌ

魔鈴めぐみ

犬塚シロ

タマモ

小竜姫

ヒャクメ

ベスパ

パピリオ

ワルキューレ


そしてルシオラである



それは偶然が生んだ奇跡だった

横島に魂を与えて消滅したルシオラの記憶・経験・能力が、全てそのまま横島に覚醒したのである

ルシオラ本人の意識が残るほどではなかったが、横島は横島忠夫とルシオラの二人の能力・記憶・経験を持つ存在になったのだ

その後混迷を続ける戦いの中で仲間達は、死ぬ寸前に横島に僅かに魂を分け与えて力・経験・記憶を横島に継承させて行った

それがどんな思いだったかは個人個人で違うのだろうが、せめて一志報いて残った仲間だけでも生きて欲しいという願いは変わらない

結果横島は神魔妖人の四種の力を操る世界でただ一人の存在となっている



さて話は戻って街をぶらつく横島は、金策を考えていた

今の横島ならばお金がないと生きて行けない訳ではないがのだが、やはり最低限のお金は欲しい


(バイトすっかなー)

どうやって金策するか悩む横島だが、戸籍はすでに日本国籍を持っている

まあ土偶羅が偽造しただけだが……

手っ取り早くお金を稼ぐのにバイトでもしようかと悩む横島だが、その時にある案が閃く



3/3ページ
スキ