元々あやかや千鶴などの美少女と一緒に居るだけで横島は注目を集めているのだから、刀子とシャークティが同じテーブルに座ると更に注目を集めていた

しかし横島がそんな細かい視線を気にするはずがない


「相変わらず忙しそうっすね」

「本番三日前くらいからは本番並に忙しいのよ。　中等部や高等部の方は追い込みの真っ最中だしね」

以前魔法料理を出した時に比べればマシだが、刀子もシャークティも微妙に疲れが見え隠れしている

まあ客の学生達もだいたい似たようなものだし、横島の影響であまり無理をしてない２－Ａの少女達が人一倍元気なだけなのだが


「貴方のカレー随分評判いいわね。　高等部の方にあるレストランで最近似たようなカレーが出たそうよ」

「へ～、偶然ですね」

挨拶に続き世間話程度の会話をしていた横島と刀子だったが、刀子がもたらした情報はあやかや千鶴には思いもよらないものだった


「偶然じゃないと思うわよ」

「真似されたんでしょうね。　麻帆良はその辺シビアだから」

偶然だと驚く横島に刀子とシャークティは真似されたのだと告げるが、横島は動揺もせずにニヤリと意味深な笑みを見せる


「まさかこんなに早く真似されるとは……」

「営業が終わったら食いに行こうか。　どんな味か興味がある」

人気のカレーをすでに真似された事実にあやかと千鶴は驚きを隠せないが、横島は逆で楽しみな様子だった


「美味しかったら逆に真似するつもりね？」

「当然じゃないっすか」

横島の真意に気付いた刀子は思わずクスクスと笑ってしまい、その真意をズバリ当てていた


「でもあそこ美味しいって話じゃなかったはずよ。　微妙だって言ってたもの」

相手のいいとこを真似する気満々の横島にあやかと千鶴は任せておけば大丈夫だろうとホッとするが、シャークティはそれほどいい噂じゃなかったと告げる


「あのカレーはバランスが難しいですからね。　流石に一日二日でコピー出来るとは思えませんけど。　まあ最悪の場合は新メニュー出すんで問題ないっすよ」

実際横島はどんなカレーか興味はあったが、普通の人間があのカレーを真似するのが大変なことも理解している

普通の人間の味覚や嗅覚では、細かな食材や調味料を的確に当てるのは相当難しいのだ

逆に言えば横島のカレーを的確に真似出来るレベルならば、真似する必要がない料理の腕前だということになるのであった


「麻帆良祭が終われば貴方の店も混雑するようになるかもね」

元々腕前と比べると不思議なほど客が入ってなかった横島の店が、この機会に人気店になることに刀子は若干複雑な心境だった

よかったと思う反面で居心地がよかった場所が無くなるのは寂しいものがあるらしい


「いや～、あんまり客が増えても対応出来ないしな。　カレーの人気が出たなら雪広グループのレストランとかで提供して貰いますよ」

刀子のみならずあやかや千鶴でさえ麻帆良祭後は横島の店が人気が出ると見込んでいたが、横島は客を増やすつもりは全くなかった

現状のちょっと暇なくらいが結構気に入っているようである