真の歴史へ・その三

さて街に買い物に行った横島達は、一通り買い物を終えた後にある場所に来ていた


「あんた……、何考えてるんだい?」

警戒するような視線のメドーサは、何故横島が自分をここに連れて来たかわからない


「横島さん……」

困惑しているのはメドーサだけではない

先程まで笑顔だった美衣もまた怯えたような表情になっている


「せっかくだから顔出しておこうかと思ってさ。 お前の過去を消したのここの人なんだよ」

メドーサと美衣を安心させるように笑顔を浮かべた横島は、意味ありげな言葉を残して建物に入って行く


「大丈夫よ。 あなた達が間違って除霊されないように、顔見せに行くだけだから」

言葉足りない横島をフォローしたタマモは、メドーサ達を連れて横島の後に続いた



「遅くなってごめんなさい」

応接室で30分ほど待たされた後でやって来たのは美智恵である


「メッ……メドーサ!!」

部屋を見た美智恵は、反射的に戦闘態勢に入っていた

先日まで敵として認識していた相手が居るのだから、美智恵の反応は当然だろう

狙われる理由もある美智恵は、神界からメドーサが逃げ出したのかと一瞬にして判断する


「まあ落ち着いて下さいよ。 ちょっと近くに来たんで報告がてら寄らせてもらいました」

嫌味なほどニコニコとした横島の言葉に、美智恵は何がなんだか訳がわからない

少し前に殺されかけた事が記憶に新しい美智恵は、引き攣った表情をしながらも一応横島の真正面に座る


「こんど俺の事務所で保護した三人です。 近くに住むんで、間違って除霊しないようにお願いします」

「保護って、あなた……」

いつものように普通に話す横島に、さすがの美智恵も言葉が続かなかった

美衣とケイはどうでもいいが、メドーサが居る事が信じられない


(まさか、ハメられた?)

無表情で見つめるメドーサを見て、美智恵はようやく頭が働き出す

前からメドーサの扱いについてはおかしいも感じていたのだ


「それじゃ、よろしくお願いします」

自分の用件が終わると驚きが収まらない美智恵を放置して、横島はさっさと帰ってしまう

残された美智恵は呆然としながら、今回のメドーサの意味を考えていた



「いったいどうなってるんだい?」

オカルトGメンの事務所を出た後、メドーサは詳しい説明を求める

美智恵の表情からして横島達が何か仕組んだのは悟ったメドーサだが、自分の事を影でコソコソと何かされるのは気持ちいいものではない


「簡単な話よ。 美神親子が貴女を退治した事になってるの。 神魔人界全てにおいてね」

美智恵の表情が楽しかったのか、タマモは機嫌良く説明を始めた

自分が人間に退治された事にされたメドーサは不快そうな表情になるが、それ以上に横島達と美智恵の関係がわからない


「今後、貴女が過去の問題で人間に狙われる事は無いわ。 貴女の生存が世間にバレたら美神親子は破滅だもの」

クスクス笑うタマモの言葉で、メドーサはようやく事態を理解していた


(あの女を利用した訳か…… 相変わらず食えない連中だね)

自分達は表に出ずに他人を利用した横島達のやり方は、神族と言うより魔族に近いとメドーサは思う

GS試験以来神族らしくない小竜姫に疑問を抱いていたメドーサは、その理由がわかった気がした


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