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真の歴史へ・その二

(あんたに勝てる人間なんて永遠に現れる訳ないだろ)

まだまだ人間に負けないと言う老師に、雪之丞は引き攣った表情を浮かべる

何をどう考えても人間が老師に勝つなど有り得ないと雪之丞は確信している


「この世に絶対などは無い。 覚えておく事じゃ」

ケイと手を繋ぎ優しい笑顔を浮かべている老師は、一瞬だけ雪之丞に険しい表情を見せて呟く


「えっ……」

突然の言葉に雪之丞は、その意味を理解出来なかった


「さて、少し街を案内するかのう」

雪之丞はすぐに言葉の意味を尋ねようとしたが、老師はすでにケイを連れて歩き始めている


(まあ、いいか)

嬉しそうにキョロキョロするケイの姿に、雪之丞は難しい事を考えるのを止めて三人は街を歩いていく



一方メドーサに連れられた横島達は、先程までメドーサと美衣達が居た場所に転移していた


「さて、何人居るかしら」

到着早々タマモは付近に居る人間を探し始める

妖狐なだけあって、森はタマモの得意分野であった

まして場所が人間が普段居ない山奥なため、人間を見つけるなど簡単である


「はい、使い方はわかるわよね?」

同じくルシオラは到着早々に、横島や小竜姫やメドーサに武器を配っていた


「銃まで持って来たのかい?」

自分にまで銃を配るルシオラを不思議そうに見るメドーサ

最早敵として扱われない事には慣れてきたが、さすがに銃まで渡すとは思わなかったようだ


「用心するのに越した事無いでしょ? 連中は妖怪を相手にしてるんだから、霊力を使った攻撃には対抗手段があるかもしれないしね」

意味深な笑顔のルシオラだが、メドーサは若干複雑な表情である


「つまり、人間に見えるように戦えと?」

「さすがに話が早くて助かるわ。 私達は必要な時以外は、人間として行動してるの。 敵に手の内見せるのは上策じゃないでしょう?」

ルシオラの意図を即座に理解したメドーサは、若干面倒そうな表情を浮かべた

確かに神魔の正体を隠すのは当然だろうが、何故自分が付き合わなければならないのか納得がいかない


「神魔の狭間で生きるのも大変なんですよ。 綺麗事だけでは生きていけない。 出来るだけ捕獲するようにして欲しいのですが、無理なら遠慮しなくて結構です」

納得がいかないメドーサに語りかけたのは、すでに銃を構えた小竜姫である

敵が妖怪捕獲を専門にしてる裏のGSだとすれば、ルシオラ達の能力は使わない方がいいと言うのが結論である

どこで監視してるかわからない以上、妖力や魔力を感知される事は避けたい

まあルシオラ達が監視に気付かない事自体ほどほど有り得ないのだが、オカルトGメンのように人工衛星などの設備があれば別である

歴史に無い事件なだけに、横島達は慎重に慎重を期していた


「小竜姫……」

抵抗無く銃を使う小竜姫にメドーサは驚きを隠せない

香港の時以来神族らしからぬ小竜姫には慣れてきていたメドーサだが、本当に神族としてのプライドが無い事にはやはり驚きだった


「思ったより少ないわよ。 5人の人間が美衣さんの家らしき建物の周りで見張ってるだけだわ」

思ったより少ない敵に、横島達はその意味を考える

タマモが見つけられなかった以上、それ以上の敵は居ない可能性が高いのだが


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