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横島君のお店開店

「木乃香って相変わらず占いの事になると人が変わるわよね」

「結果論かもしれませんが、私はよかったと思うです。 きっとこの人は誰かしっかりした人が居ないとダメだと思うですよ」

木乃香と横島の笑顔の駆け引きでいつの間にかギャラリー化していた明日菜と夕映だったが、二人は結果的によかったと思うしかなかったのかもしれない

普段はおっとりした木乃香だが、料理が得意で愛想もいい

それに木乃香は見た目よりもずっとしっかりしてる為に、行き当たりばったりな横島にはちょうどいいと考える夕映であった



「うむ……じゃ喫茶店にするか。 レストランだとお客の女の子となかなか話とか出来ないし……」

木乃香の件もあり少し真剣に考える横島だったが、レストランだとお客の女の子と気軽に会話が出来ないと考えて喫茶店にしてしまう

動機に物凄く不安そうな夕映と明日菜だったが、木乃香は目的を果して割と満足そうにしている


「厨房とフロアの間にちょうどカウンターもあるから、喫茶店もこのままでやって行けるわね」

横島が喫茶店にした事により三人もそっちの方向で考えるが、元々洋食屋だっただけあってここには喫茶店のようなカウンターもある

明日菜はこのままでもいいんじゃないかと考え、横島もあまり手を加えるつもりはなかった

その後横島は木乃香達に手伝って貰い、店舗スペースの掃除に取り掛かる事になる

店の内装は昔ながら洋食レストランそのものなのだが、大切に使われてきた内装なだけあっていい味を出していた

結局横島は内装やテーブルの位置をそのままにして喫茶店として営業する事を決める

この日はそのまま掃除をして必要な調理器具や物を調べるだけで夕方までかかり、その後横島は桜子と共に宝くじ当選の取材を受けてこの日は終わった



「おじいちゃん、ウチなバイト始めたんや。 お父様に上手く言ってえな」

次の日になり朝一で祖父近右衛門の元を訪れた木乃香は、すでにバイトが決定したかのように近右衛門に話している

突然バイトを始めたと言う木乃香に近右衛門は驚き固まるが、木乃香の表情から冗談ではないと悟る


「どこでバイトをするんじゃ? せめて高校に入ってからの方がいいと思うがのう」

「世界樹前広場に居た占い師のお兄さんが、今度店を開くんや。 ウチそこで占いを教わりたいんや」

少し困った様子の近右衛門だが、木乃香の意志はすでに固く変わりそうもない

結局近右衛門は学業に影響が出ないように言うしか出来なかった


(まあスパイではないようじゃし、いいかのう)

木乃香が突然バイトを始める事に多少不安になる近右衛門だったが、現在横島のスパイ容疑は一応消えている

横島や亡くなった両親とされる人物を調べたのだが、魔法協会や魔法世界と関わりが無かったのだ

現在親戚や身寄りがなく、両親以外の祖父母などの情報は第二次世界大戦後の混乱もありそれ以上の追跡調査が無理だったのである

全て土偶羅の偽造の経歴だったが横島やその両親が魔法組織に関わった形跡がない事から、スパイの容疑はだいぶ薄れていたのだ

加えてこの日の麻帆良スポーツの一面には、宝くじが当たった横島と桜子が笑顔の写真付きでデカデカと乗っていた

結果として二度目にして宝くじの当選で安易に一面に写真が載った横島は、スパイではないだろうと結論付けている


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