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麻帆良祭

寮に戻り一休みした2-Aの少女達が再び仮設店舗に集まったのは、朝の九時半を過ぎた頃だった

この日は初日という事で実戦練習を兼ねて2-Aの全員で一日営業する予定なのだ

超包子の助っ人メンバーはそれぞれのクラスの準備や部活の準備があるらしく、夕方近くにならないと来れない事から2-A全員になったらしい

まあ例によってエヴァは居なく2-Aの少女達も部活の準備に途中抜ける者も居るので、実質は三分の二ほどが営業に加わる予定である



「あまり顔を出せなくて済まないね。 怪我だけは気をつけて楽しみながら頑張って欲しいと思う」

そしてこの日、珍しく高畑が朝から仮設店舗に来ていた

一応毎日朝の点呼はきちんと取っていたが、しずなや他の先生が来ており高畑が朝から来るのは珍しい

無論高畑も忙しい仕事の合間を縫って顔は出していたが、基本的にはクラスのことはあやかに任せることが多かったのだ

高畑はこの準備期間は広域指導員の仕事が忙しく、揉め事や喧嘩の仲裁から準備に関わる諸問題の解決に忙しく走り回っている

まあ教師は全体的に忙しいのだが、高畑は有能な上に人が嫌がる仕事も率先して行う為あちこちから頼りにされることが多かったのだ

ただ流石にクラスの出し物の開店初日にはきちんと来たらしい


(いい人なんだけどな~)

高畑の挨拶を少し離れた場所で聞いていた横島は、教師しての能力はともかく根が真面目で善人な点はかなり好感を感じている

根本的に善人や真面目とは掛け離れた価値観の横島としてはそこは尊敬する部分ではあるが、その真面目で善人な部分がネギの問題では失敗の一因になったのも理解している


(案外教師辞めた方が本人の為かもしれんな)

理想と現実・裏と表の狭間で高畑が苦悩をしながらも頑張って来たことは理解するが、横島には高畑の生き方がいいとは思えなかった

少なくとも人に出来ることは人に任せるべきだと思うし、やるからには責任持って徹底的にやる必要があるとも思う

現状で明日菜が寂しい想いをしてることにも気付かず、教師としても魔法使いとしてもギリギリで頑張り過ぎる状況はキツイ言葉で言えば中途半端になってるとも言える

この上ネギを守りたいならば、正直教師を辞めてそちらに専念する方が高畑の為にもいいような気がした

横島がぼんやりとそんなことを考えてる間にも高畑の話は終わり、次にあやかが具体的な注意事項などを言い聞かせている


(彼女が優秀なのか、あの人が先生に向いてないのか……)

あやかの行動は本来は教師がするような行動も微妙に雑じっている

教師の代わりにクラスをまとめて一人一人のクラスメートに注意を払う姿は、正直高畑よりも教師らしいのではとも思ってしまう

あやかが元々そうだったのか高畑が居ない影響で仕方なくクラスをまとめてるのかは知らないが、横島はあやかの苦労を思うと少しかわいそうに感じていた

本人はあまり気にしてないようだが、もう少し学生らしく自由で気楽な学生生活を送るべきなのではと考えたようだ

まあ何はともあれ朝のミーティングも終わり、いよいよ開店に向けた準備に入ることになる

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