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横島君のお店開店

「レストランか喫茶店か~ んじゃ、そのどっちかにするか」

「えっ!? 自分で振っといてなんなんだけど、横島さん軽すぎるわ!」

「全く考えないその姿勢がやはり不安です。 レパートリは大丈夫なのですか?」

明日菜と夕映のアイデアに簡単に乗っかる横島に、二人はやはり不安になったようだ

実は資金稼ぎを土偶羅に任せた為に横島としては赤字でも問題ないのだが、それを知らない二人は不安になったらしい

どうやら自分達が言い出した飲食店で横島が失敗した姿を想像してしまったようだ


「大丈夫だって。 ダメなら後で考えるからさ。 それに俺としては可愛い女子高生でもバイトに雇って、楽しくやれればいいだけだしな」

不安そうな二人を励ますように横島は笑って言葉をかけるが、その瞬間木乃香の目が輝いたのに横島は気付かなかった


「理由が物凄く不真面目です」

「料理は上手だし悪い人じゃないのに、なんでこんなに不安になるんだろ」

女子高生と楽しく仕事が出来ればいいと笑って言い切る横島に夕映は理由の不真面目さが更なる不安を呼び、明日菜はなんで自分がこれほど不安になるか不思議なようである


「バイトの女の子の条件は何なん?」

「可愛いければいいかな。 看板娘が欲しいしさ」

「例えばウチは可愛い方に入るん?」

「もちろん入るさ。 木乃香ちゃんが可愛くない男なんてこの世にいないよ」

「それじゃウチでもええんやね。 よろしゅうお願いします」

「えっ……!?」

明日菜や夕映との会話の流れで木乃香に聞かれたバイトに雇う女の子の条件を笑って語る横島だったが、いつの間にやら木乃香はバイトをする気満々だった

その瞬間は横島ばかりでなく明日菜と夕映すらも固まってしまう

流れるように適当に答えていた横島を木乃香は上手く利用していた

横島としては実はバイトの話は冗談半分のつもりだったのだが、木乃香はすっかりその気なのだ


「木乃香本気なの!?」

「占いを教えて貰えてお金が貰えるなんて一石二鳥やもん。 ウチ幸せやわ~」

固まっていた明日菜が我に返り木乃香に本気か問いただすが、木乃香は真剣そのものである


「えっと……バイトは大変だぞ? 中学生は部活とか忙しいだろ?」

「ウチ平日は占い研究会やから大丈夫や。 図書館探検部は土日とかがほとんどやし」

「でもなぁ……」

「ウチじゃダメなん?」

横島は木乃香が本気なのを悟って笑顔を作りつつ説得しようとするが、残念なことに横島には積極的に責める女の子を説得する能力はなかった

受け継いだ魂達の能力があれば可能なのかもしれないが、彼女達はどちらかと言えば木乃香の味方なのかもしれない

結局横島は保護者の同意があれば雇うと確約するしか道はなかった


(やっぱり縁があるんだな。 木乃香ちゃんは別にいいんだけど、じい様がどう見るかな~)

木乃香を雇うことを認めた横島だが、この件が原因で魔法協会に敵視されなければいいと願わずにはいられない

得体の知れない横島が木乃香に必要以上に近付いて、祖父である近右衛門がいい顔をするとは思えなかったのだ



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