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二年目の春・10

「あれは……」

「小竜姫だな。」

その後一同は横島が気になり霊動シミュレーターに移動するが、そこには小竜姫と手合わせしている横島の姿があった。


「きれい。」

やはり麻帆良に来てからの横島ではないように見えた。

手合わせというか、小竜姫のシミュレート体に一方的に攻められる横島の姿がある。

しかしそんな横島の姿に、ふいに綺麗との声を出したのは誰だろうか。

それは小竜姫の容姿についてではなく、小竜姫と横島の戦いが綺麗に見えた故に出た言葉だった。

剣と剣が交わり視線が交錯する二人は、まるで舞うように戦いをしていて素人目から見ても美しく見える。


「あっ、タマちゃん!?」

おもわず見惚れるような光景にシミュレーターの観覧室で見ているしか出来ない一同の中、タマモは一人で横島の元に行こうと走り出していた。




「さて、そろそろ終わりにしましょうか。」

「小竜姫様?」

一方横島は少女達が来たことにも気付かぬほど、手合わせに集中していた。


「例え貴方がどんな道を歩もうとも、貴方の中にいる私は変わらず共に在り続けます。 きっと他の人も……」

終わりにすると言い出した小竜姫に横島は少し不満そうな表情を見せてしまい、小竜姫はクスクスと笑みを溢してゆっくりと語り出した。


「いいじゃありませんか。 失敗して見苦しく泣き叫んでも。 その方が横島さんらしいですよ。」

小竜姫の視界にはシミュレーター内に入ってきたタマモと追い掛けるような少女達の姿が見えている。

その様子に小竜姫は少し安堵した表情を見せつつ、いたずらっ子のような笑みを僅かに浮かべた。

そして小竜姫は立ち尽くす横島に近寄ると……。

あの時の。

霊能者横島の始まりのあの時と同じように、近寄り横島の額に優しく口付けをした。

今度はバンダナ越しではない横島の額に。


「しょ……しょうりょうきさま?」

「勇気の出るプレゼントですよ。 あの時のように僅かでいい。 勇気を振り絞って下さい。」

あまりの自体に固まる横島と後ろの少女達に、小竜姫はしてやったり顔を見せてゆっくりと消えていく。


「ふふふ。 横島さん。 最後に一つアドバイスを。 女は貴方が考えてる以上にしたたかですよ。 楽しみですね。 本当の私達と再会する日が……」

それは横島へのプレゼントと同時に、小竜姫から少女達へのちょっとした宣戦布告だったのかもしれない。

十年共に暮らした自負が小竜姫にはある。

いずれルシオラが復活したら小竜姫は彼女にも同じく宣戦布告するつもりだったのは、小竜姫の魂を受け継いでいる横島ですら知らない事実だった。

まあ横島の中の小竜姫が、そんな記憶を横島自身に見せる気はないのだろうが。

そもそも小竜姫は異空間アジトの霊動シミュレーターの開発に協力していた過去があり、小竜姫のシミュレート体は百パーセント小竜姫のオリジナルをコピーしたモノである。

従って再現率は一番高かった。


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