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麻帆良祭への道

それから二日ほど過ぎたこの日、いよいよ麻帆良祭まであと五日と迫っていた

まだ本番まで五日あるのだがすでに麻帆良市内はお祭り騒ぎに入っており、各種イベントや出し物が大々的に行われている

そしてこの五日前から各学校では通常の授業が休止となり、麻帆良祭の準備や営業に全力を傾けることになる

まあ麻帆良祭の準備も一応は授業の一貫となってはいるが、さほど決まり事がある訳ではなくそれぞれが自由に準備や出し物などの営業をしていくことになっていた


「開店まであと二日か……」

「間に合うんですか?」

「正直厳しいかもしれん。 今夜は徹夜して進めてやる必要があるかもな」

この日横島は、朝食の時間だけ店を営業して仮設店舗に向かっている

朝の時間だけは毎日来る常連も居るため、本番まで営業を続ける予定なのだ

そして二日前から横島宅の新たな同居人になったさよだが、彼女の昨日は学校や仮設店舗に行き今まで通り生徒に混じっていたが夜は横島の家に来ていた

まあ横島の家でも特に何かをする訳ではないが、彼女は割とテレビが気に入ったようで昨日は横島が寝た後は一人でテレビを見ていたようだ

そんな横島とさよは仮設店舗の進捗具合を話しているが、正直厳しいと横島は見ている

2-Aの生徒達はよく働くし横島自身もかなり協力しているが、作業が進めば進むほど求める内容が増えていくのだ

当初は壁の内外装を中心にする程度だったのだが、どんどん凝った物が作りたいと要求が増えていたのであった



「おはよう……?」

さてそんな横島が仮設店舗に扉を開けると思わず固まってしまう

朝から準備してるはずの少女達が、何故か準備をせずにファッションショーのようなことをしていたのだから

いろいろな衣装を着ていた少女達だったが、コスプレのような衣装が多い

その中には本来の世界であれば来年の最終日に着るはずだったの衣装もあるが、流石にその事実に気付く者はいなかった


「おはようございます」

「いいんちょが本番用の衣装を持って来たんや。 誰かがどうせならRPGらしい服がえからって言ったみたいなんよ」

驚き固まる横島の元に駆け寄って来たのは、魔法使いの衣装を着た夕映と木乃香の二人である

どうやらこれらの衣装は本番用らしいのだが、当初予定と変わりRPGらしい服をとあやかに頼んだ者が居るらしい


「二人とも似合ってるな~ 魔法少女って感じだ」

魔法使いのぼうしやローブを着た二人だったが、下はスカートであり魔法少女と言った方が似合う姿だった

横島が褒めると木乃香は素直に嬉しそうだが、夕映は若干恥ずかしそうである


「横島さんの分もあるんやって」

「俺のまで用意してくれたんだな。 俺はピエロでもすればいいんか?」

「ピエロはなかった気がするです。 お好きなのですか?」

木乃香の説明ではあやかが横島用に男性の衣装も何点か持って来たらしく、横島は自分のイメージからピエロでも着るべきかと考えるが夕映と木乃香は不思議そうに横島を見つめていた

どうやらピエロのイメージは本人だけしかないらしい

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