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二年目の春・8

夕陽が差し込む仮設店舗では、3ーAの少女達がほぼ全員揃う中で作業が続いていた。

一部は部活やサークルの方の準備に行ってる少女も居るし、ハルナは絵本作りに忙しく来てないが。

タマモは発泡スチロールを加工した際に出る切れ端やの屑などを掃除したりと働いていて、高畑も数をこなしてるうちにようやく慣れて来ている。


「腹へったな。」

六月は日中が長い季節なので、すでに時計の針は六時を過ぎていて、ちょっとしたおやつだけでは空腹を感じるようになっていた。


「そうね。 流石にお腹すいたわね。」

「ご飯食べに行く?」

「食べにって作業まだやる気?」

「八時まではやらないと間に合わないよ。」

正直昼から作業をしてるので、すでに集中力が切れてる者が多くそろそろ終わろうという派と、制限時間の夜八時まではやらないと終らないという派に分かれている。

横島達も今日は昼から作業し続けてるので夕食の支度などしてなく外食にするつもりだった。


「では一旦終了にしましょう。残って頂ける方は夕食を食べて、もう少し作業をお願いしますわ。」

結局クラス委員のあやかは一旦クラスとしての作業を終えて、任意での作業に切り替えることにする。

千雨を筆頭に帰りたそうにしてる者も居るし、疲れた様子の者もそれなりにいるので、これ以上続けて事故や怪我をされても困るのだ。

麻帆良祭までまだ一週間以上あり、今から無理をしたくない者も多かった。


「タマちゃん疲れてない?」

「うん! つかれてないよ!」

そんな中最年少のタマモは相変わらず元気な様子だが、今日はお昼寝をしてないので早く眠くなるのを少女達も理解している。

横島に近いメンバーでは穂乃香が麻帆良に来てることから一緒に夕食を食べる為に木乃香が離脱するらしく、タマモもさよと一緒に一足先に帰ることになった。

タマモ本人はまだまだお手伝いするとやる気があるものの、無理をさせて体調を壊してもいけないからと、さよが疲れて帰るので付き添って欲しいと言いくるめていた。

最終的に無理をしなくていいからと言うと、少女達の三分の一ほどは帰ることになる。


「中学も今年で最後なのよね。」

「どうしたの? 突然。」

「ううん。 なんとなく来年はどうしてるんだろうなって。」

夕食は結局またコンビニから弁当を買ってきて手早く済ませて作業をする居残り組だが、明日菜はふと作業をするクラスメートを見て今年で最後だと口にすると周囲は何を言い出すんだと不思議そうな顔をした。

変わらないこともあれば、変わることもあるだろう。

現在のクラスメートも半分近くは、卒業すれば会うことがほぼ無くなるんだと思うと、いろいろ考えさせられるようであった。



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