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真の歴史へ・その二

「僕も知らないんだ。 前に何度か手伝おうかと声をかけたが、教えてもらえなかったよ。 多分正式な任務では無いと思うけどね」

美智恵の話には興味があったのか、少し考えながらも西条は答えた

現在オカルトGメンの任務の、ほぼ全てを仕切っているのは西条である

無論重要案件には美智恵も関わり判断や出動することはあるが、それなら西条も知ってるはずであった

その西条が全く知らない件で動いてるとすれば、正式な任務ではない


「そう… 何をやってるのか知らないけどさ~ もう少し働いて欲しいわ」

さすがの令子も美智恵の行動はキツく言えないようで、軽く愚痴るくらいのようだ


「うーん、この前の事件もあるからね。 何かしらの理由はあると思うんだが」

言葉を濁す西条だが、美智恵が相当ヤバい事件を調べてるのはなんとなく感じている

(最近先生の様子がイマイチ冴えない。 また何か厄介な事件でも起きるのだろうか?)

ハーピーの件で思い出すのはその最後である

自分達以外の第三者がハーピーを退治していたこと

(先生はあの第三者をあまり調べなくていいと言っていた。 多分第三者は先生が付けた護衛だろう。 先生は僕や令子ちゃんの裏で何かを考えているみたいだし…)

死を偽装しておきながら突然西条の前に現れて、オカルトGメンの日本支部の設立を早めた美智恵

その行動は謎に満ちている


西条は美智恵を尊敬しているし信じてはいるが、その謎には興味もあった


(まあ、あの様子なら時期にわかるだろうな)

美智恵の様子を見ていると、近いうち何かがまた起きる可能性があると西条は思っていた


「西条さん、西条さん、聞いてる?」

西条が考え込んでいると、少し不機嫌そうな令子が睨んでいる

どうやら何回か話し掛けていたようだ


「済まない。 少し考え事をしていてね」

「まあいいわ。 次の現場は何処?」

話を聞いて無かった西条に少しムッとする令子だが、そこは我慢して話を進める


「次の現場はビルの工事現場だそうだ。 基礎工事中に地面を掘っていたら悪霊が大量に出て来たらしい」

西条は運転しながらも資料を令子に手渡した


「何よこれ? 民間企業なら普通はGSに回す仕事でしょ? なんでわざわざオカルトGメンが行くのよ!」

不機嫌そうに資料を見る令子

圧倒的人手不足のオカルトGメンが扱う事件は、実際に依頼や相談のあった霊症の一割にも満たない

緊急性や公共性や危険性などを判断して決めるが、GSに出来る仕事はGS協会に回すのが基本である


「それがどうもあまりの悪霊の数に、付近のビルや交通に支障が出てるらしいんだ。 それなのに工事会社と地権者の間で、誰がお金を出すかで揉めてるらしくてね。 都心のど真ん中をいつまでも放置も出来ないから、結局僕達に回って来たんだ。 まあ、政界からの圧力もあったしね」

少し苦笑いを浮かべて裏話を暴露する西条に、令子は呆れ気味にため息をはく


「結局こんな仕事ばっかりよね。 政治家絡みや国絡みの仕事ばっかり…」

「まあ仕方ないよ。 オカルトGメンも新参者だからね。 オカルト業界で歓迎されてない分、政界や国との関係が重要なんだよ」

権力争いにうんざりと言った様子の令子と、仕方ないと割り切る西条

二人はそんな感じで仕事をしてゆく


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