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真の歴史へ・その二

それから1時間後

横島達四人と雪之丞は疲れ果ててぐったりしている


横島達は約1時半は老師との戦闘を続けたが、雪之丞はわずか10分が限界であった

それはもちろん老師がかなり手加減してでの結果である


「小僧はなかなか鍛えておるな。 見事だ」

わずか10分で終わったのに褒める老師に、雪之丞は不思議そうな表情をする


「まるで象に戦いを挑む蟻の気分だぜ… 何をしていいかさっぱりだ」

話しにならない強さに雪之丞は悔しさすら込み上げてこないで、逆にすっきりしたような様子だ


「当然ですよ。 老師と一対一で戦って勝てる相手は、神界でも一握りですからね」

「肉体のある人間じゃ勝負にもならないよ。 それこそ仙人にでもならなきゃな」

小竜姫と横島は、限界まで力を出し尽くした雪之丞に感心していた


未来での老師との修行もそうだったが、雪之丞は絶対諦めない

その精神的強さは誰もが認める雪之丞の強さである

普通あそこまで力の差がある相手に、自分の力を出し尽くすのは難しいのだから


「ここまで力の差があれば戦い方より精神力の問題よ。 普段と同じ力を出せただけあなたは成長してるわ」

「魔装術も出力は限界があるしね。 所詮は人間の術だもの」

小竜姫と横島に続き、いつもは辛口のタマモやルシオラまで褒めたことで、雪之丞は何と言っていいかわからない


「どんな状況でも、いつもと同じ力を出せる。 まあ、基本中の基本じゃな… 小僧はそれが合格と言うことじゃ。 さて、小僧にはゲームの相手でもしてもらうかの」

老師はそう語り、雪之丞を連れて横島達の事務所に戻ってゆく

どうやら買ったゲームを早くやりたいようだ



「久しぶりに全力を出したな~」

「確かに最近少し私達自身の修行は時間が減ってましたからね…」

横島は全力を出してすっきりした表情をしているが、老師に鈍っていると言われた小竜姫は少し反省している


「それ以上強うなってどないするねん…」

修行が足りなかったと反省する小竜姫や横島達に、戦闘が終わって近寄って来た貧は呆れていた


「必要なのよ。 守るためにはね…」

小さな声でつぶやくタマモの言葉に、貧やおキヌ達は不思議そうに見つめる

この平和な世の中で何んで必要か、彼らには理解出来ない


「小竜姫は本当に強くなったのねー」

一方未来を知るヒャクメは、小竜姫の今の強さに驚いていた

GS試験の時や普段の修行の時小竜姫の強さは見ていたが、全力を見たのは初めてである

明らかに未来から逆行してくる前とは技や動きが格段に違っているし

力そのものは封印を外していないため中級クラスだが、剣術しか使わなかった小竜姫が霊波砲や格闘なども使っていたのは驚愕であった


「いえ、私はまだまだですよ。 もっと強ければ…」

小竜姫はそこまで話して言葉を止める

過去を後悔する時間があるなら前を見なくてはと、心で誓って


「今日は夕食を作る気力も無いわね… せっかく老師も来たし、外食にしましょうか?」

少し暗くなった空気を変えるようにルシオラは話を変えた


「そうだな… みんなでなんか食いに行くか」

少しふらつく体で立ち上がった横島達は、夕食を相談しながら事務所に戻って行った


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