横島君のお店開店

一方春休み中の木乃香はといえば、寮の自室で明日菜と夕映と横島の話をしていた


「横島さん何処に部屋を借りるんやろ~ 連絡くらいしてくれてもええのに……」

ここ二日ほど横島が占いに姿を見せない状況に木乃香は若干不満そうである

実は部屋を借りるなら一言相談でもして欲しかったのが本音だろう


「桜子と一緒に宝くじ当たったらしいから、朝倉も探してたしね」

「まさか宝くじの当選金で部屋を借りるつもりだったとは…… あの人は本当に大丈夫なのでしょうか?」

珍しく不満げな木乃香を珍しそうに見ていた明日菜と夕映だが、二人は行き当たりばったりに見える横島を結構心配していた

それと言うのもここ数日、女子寮では横島はちょっとした噂になっていたのだ

桜子が横島と一緒に宝くじを当たったと、周りに話している為に噂になっていたのである

加えて同じ日に夕映から横島が部屋を借りるつもりだと聞かされた木乃香は、アドバイスをしようかと横島を探してたのであった


「二ヶ月くらいで夜逃げでもしたりして…… 案外自分の事は占えないとか」

「悪い人ではないのでしょうが、お世辞にも成功する人には見えないです」

他人事だし大丈夫なのかと笑って話す二人だったが、どこか心配になるのは横島の人柄ゆえにだろう


「木乃香、占い師さんの借りたらしい物件わかったけど知りたい?」

そんな時木乃香達の部屋に意味ありげな笑みを浮かべた朝倉和美がやって来る


「どんな部屋借りたん?」

「えーっとね、どうも店舗付きの一軒家を借りたらしいわよ。 マホラ亭って洋食屋あったでしょ。 あそこ借りたみたい」

驚きつつも興味を示した木乃香に和美は調べた情報を教えていくが、その場所には明日菜と夕映も驚いてしまう


「あそこ確かオムライスが美味しかったのよね。 小さい頃に高畑先生とよく行ってたわ」

「あそこは場所があまりよくないです。 女子寮からは近いのですが、裏通りですし学校とかが多い繁華街とはちょっと離れてるですから」

横島が借りた物件の前の店は割と有名だったらしく明日菜や夕映も行った事があったのだが、やはり場所があまりよくないため大丈夫なのかと不安が増していた


「行くんなら何するのか聞いて来てよ。 あと桜子と一緒に宝くじのインタビューもしたいんだわ。 ついでに取材受けてくれるように交渉もして来てね」

「了解や。 任せておいてえな」

行く気満々の木乃香に和美は情報収集と取材のアポを求めたが、これには訳があり宝くじを当たった話では普通の人は取材を受けたがらないという事情があった

横島の弟子を自称する木乃香ならばその辺りの交渉に最適だと考えたらしい


「ちょっと心配だから私も行こうかな」

「確かに何を始めるのかは気になるです」

行く気満々で準備をする木乃香を見た明日菜と夕映は、暇だった事もあり自分達も行こうと準備を始める

結局木乃香達は三人揃って横島が借りた物件に行く事になった


5/28ページ
スキ