二年目の春・7

「タマちゃん、準備出来た?」

「うん!」

さてこの日横島の店は夕方五時には閉店していてタマモは二階にてお出掛けの為の準備をしていた。

背中にはチャチャゼロの指定席となるリュックを背負い胸のポケットには兵鬼であるため通常より小さくなった二体のハニワ兵が入っていて、手にはお気に入りのうしさんのぬいぐるみがある完璧なお出掛けルックになる。


「それじゃ出発だ!」

「はーい!」

この日はいつものメンバーから雪広さやかと刀子と高畑が参加出来てないが、麻帆良にある麻帆良学園総合野球場にてプロ野球の公式戦がありチケットを貰ったのでみんなでスポーツ観戦にいくことになったのだ。

日頃あまりプロ野球に興味などない少女達も多いものの、横島が意外に野球少年だった過去があったりタマモが行きたいと言ったのでみんなで行くことになっならしい。

なおチケットは雪広家や那波家に芦コーポレーションなどの余り物であり、麻帆良のスポーツ振興などの為にと学園の支援企業が毎年プロ野球の公式戦の麻帆良開催を支援していることから関係者用にと配られたチケットの余り物で席も纏めて見れる場所を貰っていた。


「そう言えば去年の体育祭でマスターさ、保護者の野球大会でホームラン打たなかったっけ?」

「ああ、打ったな。 やり過ぎないように気を使うの面倒になってついな。」

「それでホームラン打てちゃうんだ。」

「ちょっと裏の実力があれば打てるだろうな。」

野球云々というよりはみんなでお出掛けが楽しいタマモと少女達であるが、ふと美砂達は昨年の体育祭にて横島が野球大会に出たことを思い出す。

当時はまだ魔法を知らなかったので気付かなかったが今思うとまた違った見方が出来るというか、体育祭なんかで普通に活躍していた時点でどうなのだろうと思う少女や改めて一般人からかけ離れてるなと思う者など様々である。


「魔法使いの人達のスポーツ大会って面白そう!」

「スポーツ大会ですか。 魔法世界ならいろいろ魔法を前提にしたスポーツがあるようですが麻帆良だと屋外は目立ちますし室内で出来るスポーツならしてる人達も確か居ると思いますが。」

中には魔法使いのスポーツ大会が見たいと言い出す少女も居て興味を示す者も居るが、基本的に秘匿する技術である魔法使いが全力でスポーツをするのはあまりしてないのが現状だった。

もちろん魔法協会内のサークル活動として肉体強化による格闘技やスポーツをしてる者も居るが、本格的にやるならば魔法世界にいかねばならず麻帆良では一部の者達が趣味程度に楽しんでるだけになる。


「魔法関係者の野球ならやってみたいな。 手加減が面倒だけど。」

「横島さんがやれば、もう野球じゃなくなるんじゃあ……。」

ちなみに横島は野球とかサッカーならやってみたいと口にするも、空を飛び打球より早く動く横島のような人達がやると最早野球にならないだろうとのどかは冷静に呟く。

実際数年前には某中華系格闘技のサッカー映画がありとんでもサッカーだったのを覚えてる者達はあんな感じかなと想像していたが。

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