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二年目の春・7

「流石に祭り慣れしてるですね。」

それから数日が過ぎて五月も残りわずかとなったこの日、夕映とのどかとあやかは納涼祭実行委員会のメンバーと会議をしていた。

スポンサー各位への説明も済み大学生の実行委員会のメンバーとあやかは商店街の側との話し合いの場を持ったが、あやかや大学生達が懸念した問題は今のところ起きてない。

少し前にあやかの父であり雪広グループ社長の政樹から商店街の側に、娘達や横島が迷惑をかけるかもしれないが頼むと一言挨拶に出向いたことが功を奏したという部分もあるのだろう。

この場合実際に迷惑をかけるかけないはともかくとして、あやかはもちろんのこと横島に関しても雪広家が目をかけてると改めて理解させるだけで十分だった。

少々親ばかかもしれないと政樹本人は商店街の人に笑ってみせたが、同じ街に住む仲間として礼儀を尽くして筋を通せば無理をする人達でもない。


「商店街は昔っから麻帆良祭とかに参加してるからな。 体制もしっかりしてるし大きな問題は起きんだろう。」

細々とした擦り合わせは残っているものの商店街の側は商店街のある世界樹通りで祭りに参加するので実質麻帆良祭なんかと規模は変わらなく、何年も麻帆良祭に参加してるだけに商店街としての祭りの準備はお手のもののようだ。

警備や会場同士の移動手段に商店街でのイベントなどなるべく早く決めなくてはならないが、麻帆良祭も迫っていてこちらの準備もしなくてはならないので計画が全て決まるのは麻帆良祭終了後になると思われる。

費用負担についてはスポンサーが豊富なこともあり少額の参加費で済むので、あとは運営の一元化を実行委員会が出来るかであるが現状では商店街の側も協力的で問題は起きてない。

なお横島と商店街を含めた全体会議はある程度細々とした打ち合わせが終わったあとにすることにしていた。

横島も決して無能ではないのだが納涼祭の運営に関しては本当になにもしてなく、下手に横島を具体的な打ち合わせに加えても役に立たなく恥をかかせるかもと実行委員会の大学生達が少し気を使った結果らしい。

実行委員会と横島はあやかや夕映とのどかを通して協力してるし信頼関係もあるが、麻帆良に来てから横島が実際に人を仕切り祭りの運営なんてしたことがないので能力が大学生側から見ると未知数だった。

前回の会議も放っておくとお茶をすすり存在感を消したように話を聞いてるだけなので、細かい打ち合わせには不向きに見えるようである。


「あそこの商店街に新堂先輩のお店もあるよね?」

「そうでしたね。 帰りに挨拶に行きましょうか。」

そして横島の予定が本人の居ない場所で決まると、世界樹通り商店街には新堂美咲のスイーツショップがあることをのどかが思いだし知らない仲ではないので夕映一緒に帰りに挨拶に寄ることにした。

商店街としては新参者でもあり新堂がどう関わるか分からぬが、未だ学生の人気が高い彼女の協力は是非欲しいところであった。


「新堂先輩、今年は店の勉強したいからって麻帆良祭のイベントに参加しないんだよな~。 先輩が出ると盛り上がるから頼んだサークル多いみたいなんだけど。 ダメ元で個人として協力してくれないか聞いてみてくれないか?」

「はい。 いいですよ。 でも期待はしないで下さいね。」

話が新堂に及ぶと大学生の側からは新堂の協力が欲しいとの意見も出て、夕映とのどかはダメ元で個人としての協力も頼むことになる。

納涼祭のメインテーマは食の祭りになっているので麻帆良のパティシエとして最も有名な彼女に協力してもらえれば納涼祭が更に盛り上がると大学生達は期待していた。



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