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真の歴史へ・その二

一方、横島とワルキューレの様子を見守っているルシオラ達は…


「ワルキューレさんは流石に強いわね」

あまり緊張感の無いルシオラは、ワルキューレに感心したようにつぶやく


「姉上が戦いを楽しんでる……」

ワルキューレが自ら接近戦に持って行ったのを見て、ジークは驚きを隠せない


「接近戦では横島に分があるわね」

「ええ、文珠と超加速抜きでも接近戦ではワルキューレは横島さんに勝つのは難しいでしょう」

タマモと小竜姫は、ワルキューレがわざわざ分の悪い接近戦に切り換えたのを笑みを浮かべて見ていた

彼女の目的が勝つことや力の確認から変わりつつある

そしてその変化は横島を認めて来た証なのだから



ルシオラ達がそんな話をしている間も、横島とワルキューレは戦いを続けている


バシッ! バシッ!

バキ!ドガッ!


ワルキューレは遠慮無く責めていくが、横島も負けて無い

互いに致命傷を避けつつ攻撃を繰り出していく


(フフフ… 接近戦では私が不利か。 奴は斉天大聖の弟子でもあったな…)

微かな笑みを浮かべたワルキューレは、純粋な体術では横島が上なのを悟るが辞める様子は無い


血が騒ぐとは良く言うが、ワルキューレの場合は魂が騒ぐと言った気分であった

不利だからこそ熱いモノが溢れてくる感覚である


(クッ… 楽しそうだな…)

横島は表情は変えないが、ワルキューレの変化に心で少し苦笑いをしていた


(俺は雪之丞じゃないんだがな~)

戦いを楽しみ、相手が強ければ強いほど燃え上がる雪之丞を思い出して、横島はそっとため息を飲み込む

互いにそんな事を考えながらも戦いは続いてゆく


それからどれだけたっただろうか

2人は止まっていた

あちこち傷ついては居るが、たいした傷では無い


「そろそろ終わりにしないか…?」

「いいだろう。 次の一撃で最後だ」


横島の言葉にワルキューレは、ニヤリとして魔力を再び高める


静まり返った異空間の世界で、2人はビクリとも動かない


バキッ!!!


しかし勝負は一瞬で決着した


「うっ… 私の負けだな…」

ワルキューレは少しよろめきその場に座り込む


互いに最後の一撃は決まっていたが

横島は、サイキックソーサを体の一部に展開してダメージを減らしていた

普段はめったに使わないが、横島は手以外にもサイキックソーサを展開出来る

霊力の物質化の基礎中の基礎であるサイキックソーサは、シンプルな分応用範囲はかなり広いのだ


「ギリギリだったな。 後少し早かったらサイキックソーサの展開が間に合わなかった」

横島も疲れたようにその場に座った


「ふん、その割には余裕があったでは無いか。 超加速も一回しか使って無いし、文珠は見せても無い」

少し不満そうに睨むワルキューレに、横島は困ったように笑みを浮かべる


「ワルキューレが思ってるより余裕は無かったよ。 文珠を使わなかったのは、ただ単に文珠以外の力を見せたかっただけだよ」


責めるようなワルキューレに苦笑いして説明する横島だが…

2人の間にある空気はどこか穏やかであった

ワルキューレの表情にあった迷いや戸惑いは消えており、横島をからかってるだけにしか見えない
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