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真の歴史へ・その二

横島達はその後、いつもと同じように1日を過ごし夜を迎えていた


「ワルキューレか…」

夕食も食べ終わり、横島達はリラックスした様子でくつろいでいた


「今思えば、始めて俺に戦場の厳しさを教えたのはあいつだった気がするな」

ふと未来でワルキューレに出会った時を思い出す横島


《この場に居ていいのは戦士のみ!!》

あの時のワルキューレの圧倒的な強さと有無を言わさぬ言葉は、今も心に深く残っている


「そうですね、当時の横島さんがわざわざ妙神山に修行に来るなんて、ワルキューレの言葉が無ければ有り得なかったと思います」

昔の横島を思い出し、懐かしそうに微笑む小竜姫

才能は誰よりもあったが、性格が戦いや戦場に向いてなかったのだ

争いを好まず優しくお人好しで、強くなりたいなんて気持ちは全く無い

そんな普通の人間だったのだから、ワルキューレに出会わなければ自分から修行になど行かなかっただろう


横島の切り札

奇跡の結晶と言われた文珠


あれを生み出したきっかけはワルキューレの言葉にもある



「懐かしいわね… 加速空間で一から戦い方を教わったのが、ついこの間な気がするわ」

「そうね。 彼女から教わったことは、今の私達には欠かせない物になってるもの」

ルシオラとタマモはアシュタロス戦後、共に修行した日々を思い出している

厳しく辛い修行ではあったが、ワルキューレの教えた戦闘技術は今の横島達の戦いに大いに役に立っていた


「今後の為にもワルキューレの協力は必要不可欠です。 まあ、横島さんなら大丈夫でしょうけど」

真面目に話していた小竜姫だが、最後にはクスクス笑ってしまう


神魔や妖怪が相手なら、横島以上に説得や和解に最適な者は居ない

しかも相手は未来では仲間だったワルキューレなのだから説得は確実である


この点では横島本人よりも、横島を信じているルシオラ達の方が楽観的であった




そして深夜、横島は事務所にやって来たワルキューレを異界に連れて行く

横島はともかく、魔族のワルキューレが戦うにはそれ相応の場所で無ければマズいのだ


そこは雪之丞達の修行に使っている場所より少し離れた場所である

いつもの場所はルシオラの研究室が近い為、被害が及ばないように離れた場所を選んでいた


「ここはルシオラの作った異界空間だ。 ここなら部外者には誰にも気づかれん」

「ほう… さすがはアシュタロス直系の魔族と言うことか」

ワルキューレは横島の説明を聞いて、離れた場所にいるルシオラ達をチラリと見る

そこにはルシオラ、小竜姫、タマモ、ヒャクメ、ジークが横島とワルキューレの戦いを見守ろうとしていた


「始める前に一つ謝っておく、勝手なことに巻き込んですまんな。 だけど俺達にはどうしてもワルキューレの力が必要なんだ」

少し苦笑いして謝る横島

不幸な未来を変える為とはいえ、横島達の行動は自分達や仲間の平和な未来の為の行動である

必ずしも全ての生きとし生ける者が幸せになる訳では無い


生を望む者が居れば、死を望む者も居る

安定を望む者が居れば、破滅を望む者も居る

横島達の行動は横島達と違う考え方を持つ者には不幸かもしれない


横島はそれを理解しつつ、大切な者達の為に未来を変えようとしている

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