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真の歴史へ・その二

一方、西条と令子を監視していた横島達は…


「現在の西条と美神さんじゃあんなもんだろうな…」

横島はハーピーが倒されるとそんな感想を口にした


「やっぱり中途半端ね。 いかに戦力不足とはいえ、作戦も相変わらず甘いわ。」

辛口に言い切ったのはタマモである


「オカルトGメンの武器も思ったほど役にたたないわね」

ルシオラは今回の戦い全般を思い出していた

破魔札や銀の銃弾などかなり使ったが、どれも決めてに欠けている


「オカルトGメンと言っても急遽作った支部だからな… 予算も人員も無いんだろうさ」

タマモとルシオラに答えるように横島はため息をはく


「問題は美智恵さんですね… 事の成り行きを監視してギリギリまで手を出さなかった」

小竜姫は険しい表情である

美智恵の手際の良さは、西条や令子の遥かに上をゆく


今回も西条達には尾行が付いており、美智恵は逐一2人の様子を報告させていたのだ

そんな美智恵の実力に小竜姫は警戒心を強めている


「わざわざ霊波迷彩服を着込んで待ってるなんて、私でも騙されたのねー」
 
ヒャクメはかなり悔しそうである

彼女は当初、美智恵の存在に気が付かなかった

だが横島達のアドバイスにより、ヒャクメの遠視を霊波を基本に見ることから、熱源探知に変えて美智恵の存在を発見していた


「最後の言葉は、私達へのメッセージね」

ルシオラは美智恵が最後に口にした

《令子は自分が守る》

その言葉の意味を自分達への宣言だと理解している


「そうでしょうね。 彼女の行動は、私達が見ているのを予想している行動だわ」

タマモも一連の美智恵の行動は、横島達に見られることを前提にした行動だと思っていた


「美神さんには手を出すな… という事ですか」

小竜姫は複雑な表情をしてしまう


美智恵のメッセージの隠されたの意味


それは仮に横島達が覗いていた場合

この先、魂の結晶を取り出す為に横島達が令子を殺すことはさせないと言う、裏の決意もこもっていた


「あの人が俺達を信じれるはずが無いよな~ 一回俺とルシオラを犠牲にしたんだから…」

横島は呆れ気味につぶやく


美智恵はかつて横島とルシオラを犠牲にした

それを美智恵は良く理解している

そんな相手に気を許せないのだ

今度は裏切られても何の不思議も無い相手なのだから…


「あの人は元々、自分以外は信用してないわよ。 本心から分かり合える仲間なんて居ない孤独な存在なんだから…」

タマモは横島のつぶやきに答えるように言い切る

前世において数千年も孤独を生きてきたタマモには、美智恵の心の孤独感が見えていた


「自分が相手を信用しないから、相手にも信用されない。 当然の結果と言えばそれまでですが…」

小竜姫は少し同情の表情で美智恵を思う


「アシュ様と言う最上級魔族と戦う為に生きてきた彼女… その過程においては手段を選ぶ余裕なんて無かったんでしょうね」

ルシオラも小竜姫同様、少し同情するような言い方である


「だが…、あの人のやり方をされては困るんだ。 あの人のやり方は周りや世界を危険に陥れる」

横島はそれでも美智恵のやり方を認めない

ルシオラ達も横島の言葉にしっかり頷き、その日は終わった
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