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真の歴史へ・その二

その頃ハーピーは、必死に辺りを探るが相手の姿は見えない


「クッ……」

ハーピーは逃げたい気持ちはあるが、先ほどの爆発の影響で羽が満足に使えない

中途半端なスピードでは背中を向けた瞬間殺されるのを感じていた


「もう十分よ。 今度こそあなたを退治してあげるわ」

その声はハーピーの目の前から聞こえた


ハーピーはその声の聞こえた辺りに攻撃しようと羽に魔力を込めるが…


「退け! 魔物よ」

フェザーを投げる前に、退魔護符が飛んで来る!


バシィィィッ!!


「ギャアアアアッ!!」

度重なるダメージのハーピーは避けることも撃退することも出来ずに、退魔護符をモロに受けてしまう


「お前は… まさか…!? クソ… いつの間に… だが忘れるな! あたいたちは組織的にあんたたちを狙ってるんだ!! いずれ次の刺客が……」

ハーピーは消え去る寸前まで、目の前の見えない人物を睨みつけて消えていく


「そんなことわかってるわ。 でも、令子は何があっても私が守る」

その言葉は彼女自身への誓いの言葉なのだろうか?

それとも、この戦いを監視する横島達に向けた言葉なのか?

それは彼女にしかわからない


彼女はそれだけ呟くと、姿を現さないままその場を後にした



一方、事態を全く掴めない西条と令子は動きたくても動けないでいる

2人に聞こえたのは焦ったハーピーの叫び声だけで、次は最後の断末魔であった


「西条さん! 今のは!?」

令子はハーピーの苦しみの断末魔を聞き顔色を変える


「わからない。 だが普通に考えて、こんな山奥に偶然助けが来るなんて有り得ない」

西条はあくまでも慎重に考えていた


「結局、動けないのね…」

令子は悔しそうに拳を握りしめる


「僕が状況を確認して来る。 令子ちゃんはここを動かないでくれ」

西条は先ほどのハーピーの攻撃をかわした時、令子の怪我が悪化したのに気付いている為、1人で周囲の確認に向かう


令子は西条を心配して見守るが、戦闘が出来る状態では無い為渋々従った



結局、西条と令子がハーピーが居ないのを確認したのは、約2時間後である

2人は状況的にハーピーは誰かに倒されたと判断したが…

それも推測でしか無く、結局何もわからない


その後、安全の確認をした2人が小さな令子を連れて街へ戻った時、時刻は朝を迎えていた




こうして、令子の初めての本格的な対魔族戦は終わる

未来に比べて経験不足な上、精神的に未熟な令子にはツラい戦いになった


しかし、貴重な過激派魔族との戦闘を経験し、西条と言うパートナーとの絆も出来つつある


令子はこれから来る試練の数々に立ち向かう為の、最低限の一歩を踏み出したと言えるだろう


全ては美智恵の計画通りに……



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