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真の歴史へ・その二

小竜姫達が修行をしている頃


横島とルシオラは研究室に居た

「ルシオラ、進んでるか?」

横島は開発中の物を眺めてルシオラに問いかける


「ええ、まあまあね。 原始風水盤関連はだいたい終わってるわ」

ルシオラは研究室の大きなモニターに世界地図を映す

モニターの世界地図は、世界各地のところどころが点滅している


「現時点で人界において香港と同レベルの地脈の集結ポイントよ」

ルシオラは世界各地を前に説明を始める

「やはり一番可能性が高いのは香港ね。 この辺は風水関連が発達してるから、見つかりにくいわ」

ルシオラの説明に横島は難しい顔で考えていく


「風水師はどうだ?」

かつて横島達が原始風水盤に関わったのは、風水師の行方不明事件が元である

香港で有名な風水師が行方不明になったのを、神界が嗅ぎつけて小竜姫に調査を命じたとこから始まる


「それは特定は難しいわ。 別に風水師じゃなきゃダメな訳じゃないのよ。 まあ、原始風水盤の針を作るのは、風水師が一番術との相性がいいけど、霊力の高い人間でも代用は可能よ」

ルシオラは困ったように横島を見る

誰が原始風水盤を設計したかは知らないが、風水盤の調整次第では風水師以外の犠牲者が出る可能性もあるのだ


「やっぱり原始風水盤は完成する可能性が高いのか…」

横島はため息をつく


「ええ、あまり早い段階で阻止すれば、計画の場所を替えてまたやるでしょうね。 計画を諦めさせるには、前回のようにギリギリの勝負が一番よ」

ルシオラの結論を聞き横島は考えこむ


「アシュタロスは何の目的で原始風水盤による魔界化を狙うんだ? 正規軍には勝てんだろ?」

横島は前々からの疑問を口にした


「この原始風水盤は、もしかしたら実験なんじゃないかしら… 地脈の力を魔力に変換するための」

ルシオラは少し考えて可能性の一つをあげる

アシュタロスはかつて月の魔力を獲得しようと、月面にメドーサを送り込んだ

これはその前の段階の魔力を集める実験だったのではと予想したのである

「実験…!? しかしメドーサは本気で魔界化を狙ってたぞ?」

横島はかつてを思い出してみるが、メドーサ自身は本気で魔界化にこだわっていた


「まあ、アシュ様は他人に計画の真意は伝える人じゃないから、メドーサは知らないわよ。 結果的にそれで世界が滅んでも、それはそれでいいと思ってる気がするわ」

ルシオラと横島はそこで会話が止まる


いかにルシオラと横島でも、神魔人界最高の頭脳を持つアシュタロスの真意を悟るのは不可能である

ルシオラの話も仮説の段階を出ておらず、他に目的があっても不思議では無い


「わかってることは、原始風水盤を使っての魔界化は無意味ってことだけか…」

横島は現時点での情報量の少なさに苦笑いを浮かべる

前回の歴史から言って、原始風水盤による魔界化は阻止出来る可能性が高い

だが、横島達や美智恵の出現により歴史は変わり始めている

横島達は油断する余裕も無く、前回よりいい歴史にする為に最善を尽くすしかないのだ


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