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麻帆良祭への道

「美味しい……。 よくある欧風カレーと全然違うわね」

横島が見守る中で刀子はさっそく一口食べてみるが、それは他では食べたことがないようなまろやかなカレーであった

カレーと呼ぶには多少刺激が足りない感じもあるが、その分まろやかさが際立っておりフレンチのスープのようである


「あら本当ね……」

一方本格的な見た目に固まっていたシャクティも刀子の様子を見てカレーを食べてみるが、見た目の期待を裏切らないその出来に思わず横島を見つめていた


「例の店のメインにするの?」

「いや~、まだ悩み中っすね。 ただカレーだと応用範囲が広いですし、これ具材次第で簡単にメニューが増やせるんっすよ」

すでに2-Aのクラスとの共同出店の話を知る刀子はそこのメインにするのかと考えたようだが、横島はこれをアレンジしていくつもりらしい

具材を煮込まないのもアレンジしやすいようにと考えた結果であり、普通のカレーと言うよりはフレンチのスープやソースに近いようである

応用範囲は広いが横島が悩む理由は、このカレーを作るのに多少手間がかかる点だろう

全体のメニューのバランスや構成次第では使えるが、そこは超や五月との相談次第である



「ねえ、ここ喫茶店なの? レストランなの?」

「喫茶店らしいわよ。 料理は趣味なんだって」

横島が厨房に消えるとシャークティと刀子は再び話を始めるが、シャークティは半信半疑なようだ

一応看板は喫茶店なのだが、店の内装や料理はレストランそのものなのだ

始めて来たシャークティとしてはどちらか判断が付かなかったらしい


「ここお嬢様がバイトしてるとこよ。 噂くらい聞いたことがあるでしょ?」

「そういえば……」

横島の事は知らないシャークティだが、木乃香がバイトを始めた事は噂で聞いたここがあった

麻帆良には優秀な人材が多く集まり魔法協会に関わらない魔法使いや実力者も多いため横島はさほど有名ではないが、木乃香がバイトを始めた件は魔法協会の中で結構噂になっていたのである


「裏の人間なの?」

「みたいね。 私も詳しくは知らないけど。 ただ学園長もここによく来てるみたいだし、学園長なら何か知ってるかもしれないわ」

シャークティは横島が裏の人間なのか少し気になったようだが、近右衛門の知り合いだと刀子が告げるとそれ以上疑問を感じることはなかった

実は麻帆良や麻帆良近郊には、組織に属さないで隠れ住むはぐれ魔法使いが結構多いのだ

理由はやはり麻帆良を包む結界と魔法協会の方針にあり、魔法協会が基本的に問題を起こさないはぐれ魔法使いに対しては黙認をしてるためだった

積極的に組織には関わりたくはないが麻帆良の恩恵を受けたいという、中途半端な者が世の中には結構いるのだ


「貴女の狙いは寿退社? 確かに同業者は大変だものね」

「だからそんなんじゃないってばっ!」

説明する刀子の姿にシャークティはなんとなく刀子の考えが見えたらしく、思わずクスクスと笑っている

魔法協会の中でも中堅クラスの刀子やシャークティはいろいろと大変らしく、気持ちは理解しているといった表情だった

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