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麻帆良祭への道

その日の話し合いを終えた横島や木乃香達が校舎を出ると、街は雨上がりの夕焼けに包まれていた


「今日は歩きで来たんのですか?」

「あの車って雨降るとダメなんだわ」

いつも乗っているコブラで来てないことに夕映は若干不思議そうだが、先程まで雨が降っていたことを考えれば納得である


「雨降ったら使えない車って微妙ね……」

「結構古い骨董品だからな。 それに生活に密着した車じゃないし」

雨が降ると使えない車だと言う横島に明日菜はそれじゃ意味ないのではと言いたげだが、コブラを日常生活に使う日本人などほとんどいないだろう

実際に横島も異空間アジトにある普通の日本車と交換しようか悩み中である

思い入れはあるのだが、日常生活では微妙に不便な車だった



「一足遅かったわ~」

学校を後にした横島は木乃香達と一緒に電車で寮の近くに帰ると、そのまま近くのスーパーに来ている

夕方のタイムサービスを狙って木乃香達が買い物に来たのに着いて来たのだが、一足遅かったらしくすでに主婦や学生で店内は混んでいた

麻帆良学園は寮生活の生徒が多いため、スーパーや商店街に学生が来ることが多い

まあ寮には何処の寮にも必ず食堂があるが、結構自炊する生徒も多くスーパーの中には学生限定割引なんてサービスをする店もあるほどだ


「行くわよ」

どうも狙ってる品があるらしく明日菜が率先して混み合う店内に入って行き、木乃香・夕映・のどかが続いていく

大人しいのどかでさえ躊躇せずに入っていく姿に横島は驚きながらも後に着いて行った


「おっ、カップ麺が安いな」

主婦や学生の合間をスイスイと進む横島は、途中で安いカップ麺を見つけるとカゴの半分ほど入れていく

一方の木乃香達は日替わりの肉や野菜などを普通に買っている

彼女達はきちんと自炊してるだけに、食費はしっかり考えてるようだ


(相変わらずしっかりしてるなー 俺なんて自炊しようとしたけど、すぐに続かなくなったもんな)

しっかり自炊してる木乃香達に横島は素直に感心していた

かつて横島も高校時代に一人暮らしした当初は自炊しようと挑戦はしたが、料理などしたこともなかった上に面倒になり挫折した過去があるのだから


「タイムサービスの物買えてよかったわ~」

「お肉安かったね」

混雑するスーパーを出でニコニコ顔で主婦のような会話をしていたのは、木乃香とのどかの二人である

明日菜と夕映はどちらかと言えば二人が指定した一人一個の限定品を買っただけらしい


「みんなちゃんとしてるんだな~」

「横島さんはカップ麺ばっかりね」

そんなきちんと自炊する木乃香達に感心する横島に対し、明日菜と夕映は袋に入ったカップ麺に苦笑いを浮かべている

料理が出来るのに相変わらずインスタント食品ばっかりなのだから、妙な違和感があるのだろう


「カップ麺が好きなんだよ。 本当は女の子の手料理が一番なんだけどな~」

こちらも間違っても料理人に聞こえない横島の相変わらずの発言に、木乃香達は素直に笑っていた



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