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真の歴史へ・その二

令子が落ち着いたのはそれから2時間ほどして、小さな令子が目を覚ましてからであった

さすがの令子も、子供の前で怒り狂った表情を見せるのは恥ずかしいようだ


令子は手足に打撲や擦り傷など、あばらのヒビ以外にも多数怪我をしているが

入院はせずにGメンに戻ることにした


昨夜は簡単に侵入されたが、それでも他に霊的防御が優れて隠れることの出来る場所は無いのだ

実際には横島の事務所や、六道家や、都庁の地下など都内に数カ所はあるのだが…

何も言わずに匿ってくれる場所などあるはずが無い


時間移動や魔族が関わる事件なだけに助けも呼べないし

加えて、令子の為に何も聞かずに集まるGSは誰もいない


結局、Gメンのオフィスの結界を強化して西条と2人で一晩過ごすしか無いのだった



午前10時頃、令子達がGメンのオフィスに戻ると、オフィスのあるビルの前にはたくさんのマスコミが居る


それもそのはず

Gメンのオフィスの一角が、まるで爆発したように窓や壁が崩れて室内が丸見えなのである


「西条捜査官! 昨夜の爆発は一体何があったのですか!?」

ビルに入ろうとする西条と令子に大勢のマスコミが一斉にカメラを向ける

小さな令子は子供な為、カメラは向けられないが…

あまりに押し寄せるマスコミに恐怖を感じて、令子の足に掴まる


「答えて下さい! 事件なのですか? 事故なのですか?」

テレビのリポーターが西条にたくさんのマイクを向けて答えを求める


「後で会見しますから通して下さい。 原因は今調査中です!」

西条達はマスコミの中をかき分けて、やっと中に入った


「すごいわね… どうするの?」

令子はカメラの前では無表情でいたが、中に入るとゲンナリした表情になる


「病院に居る時から、携帯を切ってたからな… まさかこんなにマスコミが居るとは…」

西条は引きつった顔で携帯の電源を入れると、着信が50件以上あった

大半はGメンのオフィスからの着信だが、警察や関係各所からの問い合わせ電話もたくさんあった


「参ったな… 夜までに魔族に対する結界を張ったり、やることがたくさんあるんだが…」

美智恵が居ない以上、Gメンの正式なメンバーは西条のみである

彼が連絡取れない間に、マスコミや関係各所への対応が出来なかった為、騒ぎが大きくなっていた


Gメンの事務所には他にも人は居るが…

西条と美智恵以外は、一般の事務員と警察庁から借りてる警察官のみであり

最低限の仕事しか出来ない

関係各所との連絡や、マスコミの対応など出来るはずが無いのだ


西条は令子を心配するあまりに、ハーピーに破壊された事務所をそのままにして病院に行った

美智恵には魔族に対する結果報告に連絡したが、破壊された事務所の後始末を後回しにしたツケがここに現れている


西条自身、最近出来たばかりのGメンが、まさかここまで騒ぎになっているとは予想もして無かった


今まで出会ったことの無い強力な魔族への対応や、令子の怪我で西条はいっぱいいっぱいだったのである


「とりあえず、関係各所への連絡からしなくては… 令子ちゃんは魔族に対する結界の準備を頼む」

西条は昨夜の後始末をしに事務所に向かう


「踏んだり蹴ったりね… ただでさえ、魔族がいつ来るかわかんないのに…」

令子は小さな令子をあやしながら、ため息をはく
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