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麻帆良祭への道

「いいって明日菜ちゃんの気分転換に来たんだからな。 それにいい年した大人が中学生と割り勘なんかしたら恥ずかしいだろうが」

明日菜と木乃香にしたらいつも何かと奢って貰うのに抵抗があるが、横島としては中学生に払わせるのは抵抗があった

結局横島が自分でさっさと支払いを済ませてしまっている


「こんな高い店に来たの木乃香と一緒に学園長先生にご馳走して貰って以来だわ」

三人の合計が数万に達した会計を見た明日菜は、微妙に申し訳なさそうだった

まあ半分以上は横島が一人で飲み食いしたのだが、明日菜も横島に勧められるままにお腹いっぱい食べている

自分が食べた金額を計算した明日菜は、何か申し訳ない気持ちになったらしい


「学園長先生とは良く食事に行くのか?」

「結構誘って貰ってるわね。 ほら私の場合は両親も親戚も居ないじゃない。 よく学園長先生が木乃香と一緒に食事でもって誘ってくれるの」

明日菜が近右衛門とのことを話した事で横島は興味をそそられ尋ねてみるが、近右衛門は結構明日菜を気にかけているようである

形式上は木乃香のついでという形をとってるが、実質的な明日菜の親代わりは近右衛門だと言ってもよかった


(年の功ってやつか。 いや高畑がアホなだけか……)

両親が居ないにも関わらず明るく元気に育った明日菜を守り見守っているのが、近右衛門なのだと横島はしみじみ感じる

まあ高畑も頑張ってはいるのだろうが現状で高畑と気軽に会えない悩みを抱える明日菜を見ると、近右衛門がどれほど気にかけていたのかが窺い知れる


「どうせなら一緒の方が楽しいやん」

「そうなんだけどね。 私としてはちょっと申し訳ない気もするわ」

どうせ食事に行くなら一緒の方が楽しいと笑顔を見せる木乃香の優しさに、明日菜は嬉しそうにしつつも多少申し訳ないという気持ちもあるようだ

近右衛門や高畑や木乃香の優しさに明日菜自身感謝しているのは確かなようである


「確かに一緒の方が楽しいと思うな。 まあ二人が今日みたいに俺に付き合ってくれるなんて後二・三年かな。 大人の美人になったら俺なんて相手にしてくれなくなる気がするよ」

木乃香の言葉に同調するように一緒の方が楽しいと笑って話す横島だったが、大人の美人になれば相手にしなくなると言われた二人は不思議そうに首を傾げてしまう


「それって偏見じゃない? 美人云々よりも人としてどうかしてる気がするわ」

「そうや、なんでうちらが横島さんを相手にしなくなるん?」

横島としては笑い話のつもりだったのだが、微妙に偏見の入った言葉に二人は不満そうな表情をする

美人云々よりも自分達の内面を疑われたようで不愉快だったのだ


「えっ!? いや、二人とも将来必ず美人になるんだしさ。 いい男がいっぱい言い寄ってくるんだぞ。 そしたら俺なんて相手する暇ないだろう?」

二人が予想外に不愉快になった事に横島は慌てたように説明していくが、明日菜も木乃香も横島の考えがおかしいとしか感じない


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