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麻帆良祭への道

その頃自宅に帰った近右衛門は、関東魔法協会の幹部数人と今後の対策に追われていた


「今回はわしのミスじゃ、すまなかった」

集まった幹部達に今回の一連の問題における不手際を詫びる近右衛門だが、幹部達の反応は仕方ないと言わんばかりだ


「高畑君は真面目で働き者なのだがね」

「立場の違いがアダとなったな。 彼の立場ではナギの息子は見捨てられまい」

今回のネギの修行先を巡る高畑の行動は組織としては問題行動なのだが、幹部達も心情的には理解している

今まで真面目で文句の一つも言わずに働く高畑を幹部達も評価していたのだ

それに高畑の性格と立場ではナギの息子を見捨てられないのも十分理解できた


「理解はしても協力は難しいな。 高畑君は評価するがナギは別だ。 彼は魔法世界を救った英雄であって、地球の英雄ではない」

今までの努力の結果高畑は評価されてるが、ナギに関しては評価が分かれている

魔法世界の戦争と破滅を食い止めた英雄とは評価しても、地球側の英雄ではない

特に関東魔法協会はナギ達の世話はしたが世話にはなってないのだ


「アスナ姫とエヴァンジェリンの件はまだいいが、地下のアレはどうするのだ? 我々の子孫は未来永劫アレを隠して守らねばならんのか?」

近右衛門の親しい幹部達はナギに苛立ちを隠せない者もいる

彼らが一番問題視しているのは世界樹の地下に封じられてる《創造主》だった


「それよりもエヴァンジェリンとの和解は進んでるのですか? これ以上本国との対立する前にエヴァンジェリンと和解しなくては……」

そしてエヴァの存在は関東魔法協会では微妙な立場である

末端や中堅クラスの関係者は恐れや毛嫌いする者も居るが、実は幹部クラスになるとそうでもない

幹部達はエヴァの過去をある程度知っており、少なくともこちらから手を出さねば害がないのを理解している

中には本国との対立の暁には手を組めないかと考える者も居るくらいだった

完全に信頼出来る味方にはならないかもしれないが、相手がエヴァを悪者に仕立てたメガロメセンブリアならば手を組めると考える者も少なくないのだ


「和解はしておるが、手を貸してくれるかは分からん。 争いを好まぬ性格じゃしのう。 それにまずはあの呪いを解かねばどうしようもない」

エヴァとの和解は幹部達の中ではずっと話されていた事だった

不死の存在であるエヴァとの対立など誰も望んでない

未来に問題を残さぬ為にも、和解の必要性を幹部達はずっと考えていたのだ


「高畑君には関東魔法協会から任意で辞職してもらう。 ネギ君は高畑君が個人で受け入れればいい。 それよりも本国との交渉じゃが……」

近右衛門が高畑の任意での辞職と、個人でネギを受け入れる事を告げると幹部達は沈黙する

誰もがネギには同情するが、正直麻帆良には来て欲しくない

関東魔法協会を辞めた高畑が麻帆良の自宅に個人でネギを受け入れ修行させるのは、ある意味仕方ない妥協案だった


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