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横島君のお店開店

さて春休みに入った麻帆良の街は生徒達が街に溢れ賑やかになっている

横島は占いをしつつ最近馴染みになった子猫と戯れていた


「そろそろ住む場所くらい欲しいな」

猫じゃらしで子猫の相手をしつつそろそろ住む場所が欲しいと考える横島だったが、はっきり言うとお金がない

占いの収入はあるが、元々安値な事もあり食事代などに消えるとあまり残ってないのだ


「にゃ~ん」

「いや猫のお前ならいいんだろうが、俺がご主人様なんか探したらおかしいだろ」

住む場所ならご主人を探せばいいと言う子猫に、横島は人間には無理だと苦笑いを浮かべてしまう

話が通じるのはいいが、基本的に猫なため価値観やら話が合わない事も多々あった


「仕方ないな。 別口で稼ぐか」

麻帆良に腰を据えて滞在しようと決めたからには住む場所が欲しいと考えた横島は、てっとり早くお金を稼ぐために行動を起こす

折りたたみ式の椅子とテーブルを片付けて背負った横島は、子猫と共に目的地に移動して行った


「どれが当たりかな」

横島が訪れた場所は宝くじ売り場である

霊感を頼りに宝くじで稼ぐつもりらしい

並んでいるスクラッチ宝くじを前に横島は目を閉じて集中するが……


「あっ!?」

「えっ!?」

宝くじを選んで手を伸ばした横島だったが、隣で同じく宝くじを選んでいた少女と同じタイミングで同じ宝くじを選んでしまう


「あー! ビッケ!! 探してたんだよ~ また勝手に散歩に行って~」

一枚の宝くじを二人で持って驚いていた横島と少女だったが、少女は横島が抱えていた子猫に反応していた


「お嬢さん、この子の飼い主なのか?」

「うん、ビッケって言うの。 最近勝手に散歩に行くから探してたんだけど、宝くじ欲しくなったんだよね~」

子猫は横島の腕から出て少女の元で嬉しそうに鳴いている

奇妙な出会いに横島と少女は立ち話をするが、宝くじ売り場のおばちゃんが買うならお金を払って欲しいと催促していた


「んじゃこれはお嬢さんに譲るよ」

「えー、私は別にいいよ~ お兄さんにあげる」

そのまま子猫を挟んでどちらが宝くじを買うか話す横島と少女だったが、互いに譲りあい話が進まない

結局お互い半分ずつ出して当たったら半分ずつにしようと、少女が言った為に二人で一枚の宝くじを買ったのだが……


「あっ……」

「ラッキー! 当たったよ~ しかも一等二百万円!!」

その場でスクラッチを削って当たりを確認した二人だったが、あっさりと一等が当たってしまう


(おかしいな。 霊感で選んだからハズレじゃないとは思ったけど、一等まで当たるとは思わなかったんだが)

ぴょんぴょんと跳びはねるように喜ぶ少女はよほど嬉しかったのか、横島に抱き着いて喜びを分かち合う

しかし横島はあまりに運が良すぎる結果に驚きポカンとしている

横島は霊感で選んだのでハズレはないだろうが、運が良くなるような事はしてないのだから一等だとは思わなかった


「やったね、ビッケ! 今夜はご馳走だよ~」

無邪気に喜ぶ少女の名は椎名桜子という

麻帆良のラッキー仮面とも桜子大明神とも呼ばれるこの少女は、物凄く運がよかった

横島との出会いもまた彼女の幸運のおかげなのかもしれない



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