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二年目の春・3

「いいか、横島はちょっと女を見せたら動揺する。 それを利用すればあの男は驚異ではない。」

桜子とタマモのちょっとした好奇心から急遽水鉄砲で対戦することになったが、エヴァと刀子チームは完全にエヴァが仕切り作戦を立てている。

正直さほどやりたそうではなかったのだが、やる以上は負けるのは嫌なようだ。

基本的に横島はエヴァが相手をして刀子が刹那を相手をすることになるが、人員の配置や作戦は人形使いとして多数の人形を操り集団戦闘の経験があるエヴァが刀子より格段に上である。

この二人普段は会話もほとんどしないが別に相手が嫌いだという訳でもないようで、刀子も素直にエヴァの作戦に従っていた。


「あのさ、もっとこう軽いノリでキャッキャ言いながら水鉄砲の撃ち合いするだけでよくないか?」

一方の横島は本気で作戦を立て始めたエヴァ達を見て何もそこまでしなくてもと思うが、味方のチームも同じく作戦を立て始めている。


「私では刀子さんは抑えられませんよ。」

「では桜咲さんと横島さんは連携してエヴァンジェリンさんと刀子さんを抑えて頂かなくてはなりませんね。」

横島と刹那のチームにはあやかと夕映が居て横島が考えないのでこの二人が刹那やハニワ兵の意見を聞きながら作戦立案していたが、こちらはエヴァに比べると経験不足であることは否めない。

ただこちらはあえて横島と刹那を戦力とせずにエヴァと刀子を抑えるだけとして、他の少女達とハニワ兵で攻めようということになっていた。


「これ水の補給のタイミング難しいわね。」

「それも含めての戦略が必要なのよ。」

ちなみにこの水鉄砲バトルは水の補給場所が自陣の本陣のみとなっているので、地味に水の補給が勝負の分かれ目の一つでもある。

専用の盾は一メートル四方の物が四つあり置き場所は自由なので、盾の置き場所もまた難しい。


「始めまして全ハニワ兵の皆さん、今回の実況は何故か私絡繰茶々丸で解説はチャチャゼロ姉さんでお送りします。 よろしくお願いします。 さてチャチャゼロ姉さん、どちらが有利でしょう?」

「御主人負ケズ嫌イダカラナ。 横島がアノ様子ジャア御主人ノチームガ有利ダナ。」

そしていよいよ試合が始まろうとしていたが、何故かハニワ兵達が急遽テレビ中継までするらしくしかも茶々丸とチャチャゼロが実況と解説をしていた。

テレビカメラ自体は本格的なのが五台ほど入っていてほとんどスポーツ中継と変わらぬ体制らしい。


「それではCMの後はいよいよ試合開始です。」

ADかデレクターらしきハニワ兵が茶々丸の前でスケッチブックに文字を書いてカンペを出しながらの緊急生中継であるが、少女達は何で茶々丸とチャチャゼロが実況や解説をしてるのかと首をかしげつつ試合開始となる。


「うわっ、これ結構遠くまで飛ぶじゃん。」

「わたしもがんばる!」

一応試合前に何度か試射はしたが予想以上に遠くまで飛ぶ水鉄砲に驚き最初は双方とも盾に隠れながら様子見の戦いだった。


「アーハハハッハ。 貴様に勝ち目はないぞ! 者共行け!」

しかし戦いはエヴァが悪者オーラ全開で横島を挑発するように姿を表すと一気に動いていく。

当然狙われるが足場の悪い砂場など関係ない様子で避けられると、刀子とハニワ達が一気に前に出ていき残りの少女達が援護していった。


「マジかよ!」

「貴様の相手は私だ。」

エヴァの作戦はシンプルなもので完全な短期決戦だった。

結局横島を自分が抑えれば刀子と刹那では刀子が有利であり、このゲームに慣れてるハニワ兵と共に横島側の少女達が慣れる前に勝ちを拾うつもりである。


「刀子さん!?」

「残念だけど今のところ私達が上ね。」

無論横島側も一気に前に出た刀子とハニワ兵に攻撃を集めるも刀子は水鉄砲を剣のように使い自身とハニワ兵を守り前に進む。

この時点で横島はエヴァに抑えられて横島と刹那が離された為に、試合の流れは一気にエヴァチームに傾く。

正直横島とエヴァでは水鉄砲のみを使った対戦では一気に勝てるほどの違いはない。

この試合は最終的に刀子が両腕の的を濡らしながらもハニワ兵を守ったことで、最後はハニワ兵が横島のチームの旗を完全に濡らして勝負が決まった。



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