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麻帆良祭への道

「人生経験って難しいわー」

木乃香自身も横島の言葉の意味をシミジミと実感していた

無論占いの違いも気になってはいるが、料理を含めた日常生活での経験が全く違う点にも気付いている

同じことを同じようにしても結果が違うのだから、その言葉の意味をよく理解していた


「別に焦らんでも木乃香ちゃんが俺くらいの年になれば、経験なんて自然に身につくだろうさ」

相変わらず軽い口調で笑って済ませる横島だったが、木乃香は本当に自分もいずれ横島のようになれるのか半信半疑である

横島が人と違う何かを持ってることを木乃香は漠然とだが感じているのだから



一方明日菜は今年の麻帆良祭ガイドを手に持ち複雑な表情を浮かべていた

せっかくの麻帆良祭を高畑と見て回りたいと考えているが、なかなか誘えないらしい


「普通に誘えばいいだろうに」

「明日菜はそれが出来んのや。 それに先生いつも忙しいし、麻帆良祭は特に忙しいんよ」

高畑と麻帆良祭を見て回る事に必要以上に考え過ぎてる明日菜に、横島は元々の性格からか不思議そうにしている

しかし明日菜にとってはかなりハードルが高いことらしい


(よそのガキよりも、明日菜ちゃんをちゃんと見てた方がいいと思うんだが……)

高畑の名前を聞き昨夜の聞いた話を思い出す横島だが、ネギの問題よりも明日菜の親代わりをしっかりするべきではと思う

ネギを見捨てろとまでは言わないが、祖父が居るネギと天涯孤独な明日菜では明日菜の親代わりを優先させるべきだと考えるのだ

まあ難しく面倒な問題があるのは理解するが、明日菜が親代わりの高畑と麻帆良祭を見て回るのも素直に言えない環境はなんとも言えないものがった


「横島さ~ん、私どうしたらいいの~」

いつもはハッキリとした性格の明日菜が苦悩の表情を浮かべる姿は珍しい

横島の占いに期待するような視線も向けるが、よく当たるだけに占いをするのも怖いようだ


「デートなんて考えるからダメなんだろう? 元々親代わりなんだから普通に誘えばいいと思うんだがな」

「うーん、分かってはいるんだけどね……」

あわよくば告白したいと考える明日菜は横島の意見に微妙な表情を浮かべる


(気持ちは分かるが、恋愛の感情だけじゃないっぽいからな)

明日菜の高畑への感情が恋愛以外にも親子の感情的なモノも入り混じってる事を理解している横島は、この件の難しさを感じていた

しかも明日菜の過去を知る高畑が明日菜を恋人として受け入れるには、それ相応の努力と時間が必要なのは明らかである

最初に明日菜を占った横島が恋愛運に波乱を見たが、現状の明日菜はまさに波乱の状況だった


「横島さん女の人の扱い慣れてみたいやし、明日菜に教えてあげたらええんやないの?」

横島と明日菜が無言になる中、木乃香は横島に期待してるようだ

まあ日頃から客の女子中高生と仲がいい横島なだけに、その手の恋愛経験も豊富だと考えていた

以前横島は自分でモテないと歎いたことがあったが、木乃香も明日菜もその後の横島を見てると全く信じてなかったのである


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