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二年目の春・3

翌日は朝食を食べた後は自由行動することになった。

木乃香・のどか・夕映・ハルナ・夏美・あやかの六人は前に来たときに貰った本をとっくに読み尽くしていたのでまた近くの本屋にと出掛けていて、美砂・円・桜子・千鶴・さよ・タマモ・白いハニワ兵は以前服や水着をくれた人間の服作りが趣味のハニワ兵の家に横島宅のハニワ兵と共に出掛けている。


「そう、その調子で。」

そして残る刀子・刹那・高畑・エヴァ・チャチャゼロ・茶々丸の魔法関係者は横島・明日菜・さやかも交えて近くの自然公園で魔法の修行やら練習やらすることにしていた。

まあ実際修行するのは刀子・刹那・高畑の三人で後は本屋も洋服選びもあまり興味がないエヴァ一家と明日菜が横島に着いてきただけで、雪広さやかは前回少女達に魔法を覚えさせた際に居なく一人だけ未だに初歩魔法が使えないので彼女にも魔法を習得させるために同行させていたが。


「貴様はそんなことまでしていたのか。」

とりあえず刀子達には基礎的な瞑想をやらせてさやかに魔法を覚えさせ始める横島だが、人の魔力を操作して魔法を使う横島の非常識さに前回さやかと同じく居なかったので初見のエヴァは呆れ顔である。

一歩間違えれば非常に危険な行為なのは今更であるが、横島はたいして集中する訳でもなく気楽にしてしまうのでその危機感は少女達には伝わってないのだろうなとエヴァは思う。


「その方法貴様がやるのは構わんが他の魔法使いには絶対に見せるなよ。 間違って広まるとろくな使い方しないからな。」

「分かってるって。」

一応横島本人にも分かってるだろうが釘を刺すエヴァはちらりと暇そうな明日菜に視線を向けた。

他人の魔力なんぞ簡単に使える技術がいい方に使われないのは、明日菜の過去を知っていれば分かることなのだ。

明日菜の場合は固有能力である始まりの魔法の能力だったが他人に使われることで道具や化け物扱いされてしまい、王権の最終兵器として人権も人格も無視した扱いをされていたのだからその危険性は考えるまでもない。

本来は魔法世界を統べる存在になるはずだったのにも関わらずだ。


「やっぱセンスはあるなぁ。 血筋かな?」

「うふふ、そうですか。」

さてさやかに関しては魔力量は人並みながら魔法のセンスはかなりいい線を行ってるようで、少女達の中では魔法が使えるようになるのが早い方だった。

本人は日頃はあまり大袈裟に喜ぶタイプではないが流石に魔法を使えるようになったのは嬉しいらしく、上機嫌な様子で魔法を使ってみては笑みを浮かべている。


「やっぱりセンスとか関係あるんですか?」

「まあ多少はな。 勘がいいって言い方でもいいし、要領がいいって言い方でもいいが覚えが早いか遅いかは個人差があるな。 明日菜ちゃんも早かっただろ?」

そんなさやかの魔法習得が割とあっさりと終わると横島は刀子達の様子を眺めつつ一息つくが、明日菜はやはり才能というかセンスの差は大きいのかなと少し魔法のことを尋ねていた。

基本的に運動以外はあまり得意ではない明日菜であるが魔法の習得は何故か人一倍早く、自分には魔法は無理かなと考えていた明日菜としては本人が一番不思議がっていたのだ。


「ただ才能とかセンスなんてのは明日菜ちゃん達は気にしなくていいよ。 そう言うのは己の限界に挑む高畑先生みたいな人が向き合う課題だからな。 明日菜ちゃん達も大人になる頃にはそれなりに魔法を使えるようになるさ。」

まあ正直明日菜に限らず少女達は魔法の才能を気にしがちだが、横島はそのつど才能を気にする必要はないと教えてはいる。

横島自身は才能だけでアシュタロスを倒すまでに至ったので決して才能を軽視するつもりはないが、今の横島ならば全員を一流の魔法使いにすることも技術的にはさほど難しくはないのだ。

ただかつての小竜姫が試練を越えた者にのみ力を与えていたように、むやみに力や技術を与えることは必ずしも本人のプラスにならないのでするつもりはないが。



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