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麻帆良祭への道

厨房に入った横島はじゃがいもを取り出すと、手慣れた様子で切っていく

その包丁捌きに三人が驚きの声を上げる中、横島はスティック状に切ったじゃがいもを油の中に入れて揚げる


「フライドポテトかしら?」

ぱちぱちと油で揚がっていくじゃがいもに、美砂はファーストフードの定番であるフライドポテトを思い出したらしい


「当たり。 フライドポテトを作ってんだよ。 これなら油に気をつければ誰でも作れるしな」

美砂の予想に横島はその通りだと言うが、三人はただのフライドポテトをわざわざ試作する必要があるのか首を傾げる


「いい色に揚がったら油を切って味付けをするだけだ」

若干不思議そうな三人の前で横島はニヤリと笑みを浮かべると、美味しそうに揚がったじゃがいを三つに分けてそれぞれ別の味付けをして行った


「そっか、違う味付けするんだ……」

「まあな。 フライドポテトって言えばほとんど塩味だけど、じゃがいもだからどんな味付けでも合うんだわ」

途中まで不思議そうだった三人だが、揚がったポテトにそれぞれ違う調味料を降りかけると表情が一変するファーストフードのポテトはだいたい塩味ばかりなことから、彼女達はてっきり塩味だと思い込んでいたらしい


「これはカレー風味ね、 味付けがちょうどいいわ」

「こっちはちょっと刺激的なスパイスね」

「これはコンソメ味だよ」

美砂・円・桜子はそれぞれ違う味のポテトを食べるが、その美味しさに驚きの表情を見せる

あまり濃い味付けはしてないが、じゃがいもの素材の美味しさが感じる程度の味付けには驚くしかないようだ


「とりあえず思い浮かんだ味付けにしてみたけど、味付けはみんなで考えたらいいと思うんだ」

パクパクとポテトを食べていく三人に横島はホッとした表情を見せつつ、考えているアイデアを語っていく

実はこのポテトは超包子の肉まん同様に持ち帰り販売を想定していた

手軽に食べれる物で誰でも作れるフライドポテトは、料理の経験が少ない者もいる2-Aには最適だったのだ

加えて味付けの種類をいくつか用意すれば手間がかからないメニューの品数が増えるし、たくさんのお客さんを相手にしても売り切れなどないだろうと考えている


「流石にプロは違うわね」

「じゃがいも以外にも、さつまいもとか玉ねぎはオススメかな。 まあよくあるメニューでもちょっとしたアイデアで十分オリジナルメニューになるよ」

なかなか止まらない味らしく無くなるまで食べていた三人だったが、彼女達は改めて横島の料理の腕前の凄さを感じていた

ただ美味しい物を作るだけでなく、手間や販売する側の状況まで考えていた事実は驚くしかない

正直超包子の料理を作る自信がない彼女達にとっては、簡単に美味しいという点がかなりポイントなようだ


(こうやって見るとやっぱり悪くないわ。 なんか大人の余裕がいいのよね。 周りの男の子と全く違うわ)

そして真剣に料理をしていた横島を見つめていた美砂は、いつの間にか自身の周りの男性と比べていた

その辺りの高校生や大学生にはない雰囲気を持つ横島には結構興味をそそられるらしい

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