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麻帆良祭への道

「ご苦労さまです」

あのまま近右衛門の愚痴を聞いていた横島だったが、とうとう近右衛門は酔い潰れて寝てしまう


「権力者も所詮は人の子か……」

この時横島には何故かタマモの前世の記憶が見えて来る

周りから妬まれ恐れられ羨ましがられる昔の権力者も、所詮は人の子でありみんな孤独だったとその記憶は教えてくれた

いくら魂を継承したとはいえあまり個人的な記憶は滅多に見えないのだが、タマモの魂が横島に何かを教えるようにそれは見えている


『せめて一夜の夢を』

この時、横島の瞳がほんの一瞬だけ金色に光ったのだが気付く者はいない

そしてそれが時の権力者に愛されて生きた金毛白面九尾が、最も得意としていた仙術の一つである事も誰も知るはずがない事である

ただ一つ変化があったとすればそれは先程までは苦悩の表情であった近右衛門の寝顔が、いつの間にか幸せそうに変わった事か

それは自分を受け入れ幸せというモノを感じさせてくれる場所を守っている近右衛門への、横島なりの恩返しだったのかもしれない

このあと近右衛門は二階に運ばれ横島のベッドで一夜を明かす事になる



「なるほどな…… あの人の暴走が原因か」

「ああ、一度止めたにも関わらず聞かなかったからな」

近右衛門を二階に運んだあとで、横島は店の片付けをしながら土偶羅に近右衛門の苦悩の原因を尋ねるがその内容に呆れた表情を浮かべる


「そのなんとかの女王が母親なのがそんなまずいのか?」

「厄災の女王だ。 この女の評判はすこぶる悪い。 世界滅亡を企む秘密結社《完全なる世界》との関わりや奴隷制の導入で二十年前の戦争の主犯になってる女だ。 最も真実はだいぶ違うようだがな」

高畑がネギの受け入れに動いていたのは以前土偶羅から報告があった為に知っていたが、そのネギが嫌われる原因を改めて聞いていた

実は土偶羅は少し前にネギのこの件関して報告を上げていたが、横島が見忘れてたらしい


「またその戦争の話か。 まさかアスナちゃんに絡むなんて言わないだろうな…… あの子の国もあっちの古い王家なんだろ?」

「そのまさかだ。 アリカ女王はアスナ姫と同じ血縁だ。 アスナ姫は《黄昏の姫巫女》と呼ばれ、《神代の魔法》と呼ばれる世界の始まりと終わりの力を使うらしい」

明日菜とアリカの関わりを聞いた横島は引き攣った表情で深いため息をはく


「じいさんはそれを……」

「知っている。 それゆえにネギという子供の受け入れを拒否した。 高畑・T・タカミチも無論知ってる」

「あの人アホなのか? 混ぜるな危険って言葉教えてやろうか。 近くに置いたらあかんやろ」

狙われてるネギを狙われる可能性の高い明日菜の近くに置くなど、愚かとしか言いようがないと横島はシミジミ感じる




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