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麻帆良祭への道

次の日さっそく学校に登校した木乃香が原価の話をクラスメートに伝えると、超や五月も含めクラスメートの大半は賛成だった

実は2-Aのクラスメートや横島は知らない事だが、すでに超包子では一部規格外の野菜や食材を格安で手に入れて使用もしている

これは超鈴音が生産者と直接取引などを普通にしてる為、多少見た目に問題がある野菜などは気にせず使っていたのだ

安くて美味いをモットーにしている超包子は地道に経営努力をしてるらしい


「見た目の形など、料理をすれば分からないネ。 実際超包子でも肉まんの中身なんかは規格外の野菜が入ってる事もあるヨ」

一部にわざわざ見た目の悪い野菜を使わなくてもいいのではとの意見もあったが、超が超包子の秘密を多少暴露すると反対意見は消えて行った


「お野菜は時期によっては高いですからね。 超さんはいろいろ努力をして肉まんの値段を押さえてるんですよ」

天才超人超鈴音の隠れた努力を暴露する五月にクラスメートは驚きの視線を向けるが、コンビニ並みの値段でプロ並みの肉まんを一年中提供するのは簡単ではないようだ

まあ横島のようにズルをしてない限りは当然の経営努力とも言うが……


「という事は横島さんも規格外の食材を使ってるのでしょうか?」

「そうやな~ ウチじゃ何が規格外か分からんけど、曲がったキュウリとか形が不揃いな野菜はあったわ」

あの超鈴音が肉まんの値段を抑える経営努力をしてると聞き驚くクラスメートだが、夕映はこの話を持ち出した横島も他店と比べて安い事から同じではと考えたらしい

そんな夕映の疑問に店の業務用冷蔵庫を何度も見た木乃香が野菜の形などが違った事を思い出すと、横島も結構努力してるのだという認識が広がる

しかし実はそれは経営努力ではなく、ただ単に異空間アジトから古い順に運ばれてるだけだという真実は気付くはずがなかった

異空間アジトでは通常は時間が凍結された空間に食材は保存されてるが、それでも古い順に消費するのは常識である

加えて異空間アジトで生産される野菜などは元々販売用ではない為、味が重視され見た目の形にそれほど神経質ではないのだ


「あの人はタダ者じゃないネ。 実際日替わりメニューは原価割れ確実ヨ。 おそらくその分を他で上手くカバーしてると思うネ」

横島が値段を抑える努力をしてるという認識に加えて、超が横島を褒めると2-Aのクラスメートは軽いように見えて実は凄い人なのではと新たな誤解が生まれ始める

超や五月やあやかなどの味の分かる者がこぞって褒める為に、知らぬうちに横島は美化されてしまう

現在でも金持ち説は根強くあるし、金持ちだから見た目とは違いしっかりした人なんだと勝手に想像を繋ぎあわせていたのだ


「本当にそこまで考えてるのかしら? 案外安いからラッキーってくらいにしか考えてない気が……」

クラスメートが横島を美化していく中で明日菜は考え過ぎではと言うが、馬鹿レッドの異名を持つ明日菜では説得力がなかった

実は一番横島の価値観に近い事実は、今のところ誰にも気づかれる様子はない


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