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麻帆良祭への道

「それがなかなか決まらんのや」

「現状だと中学生が気楽に入れる店がいいとはなったんですが……」

チーズケーキが焼けていくいい匂いが僅かに漂ってくる中、麻帆良祭の統一店舗に関して話をはじめるがなかなか決まららないらしい

スイーツなどの甘い物の店から中華や洋食などのファミレス方式まで、いろいろ案はあるがなかなか纏まらないようだ

ただ基本的方針としては中学生でも気軽に入れる値段にしたいとは一致してるらしい


「中学生って言えば一食五百円くらいか? 千円だとキツイだろうな」

中学生が気軽にと言われて値段を考える横島だったが、原価や儲けを考えるとなかなか大変だと感じる


「いっそ原価の低い材料とかもあるか聞いてみたらどうだ?」

「原価の低い材料って?」

「一般的にはあんまり売り物にならない食材もあるんだよ。 野菜とか果物は形が悪いだけで売れないからな。 後は食品加工の過程で余った部位とかが出る事もあるはずだ。 全部とは言わないけど、安くて美味いメニューを何種類か作る事は可能だと思うぞ」

2-Aの考える中学生にも気楽に入れる店を考えていた横島は、規格外の野菜や果物などを使えばいいと言い出す

まあ雪広グループの反応次第ではあるが、メニューの何品かをオススメとしてぐっと値段を抑えられる気がしたのだ

加えて雪広グループのオススメ食材と一緒に使えば宣伝には問題ないし、上手くいけば普段捨てられるような食材の新たな販売も可能になると考えていた


「そんな野菜があるんや~」

「形の悪い野菜とかは加工食品に回される事が多いが、味は変わらんでも値段は全く違うからな。 料理にもよるが原形が残らん料理ならば問題ないよ」

興味深げに話を聞く木乃香とのどかに横島は簡単に説明していくが、雪広グループの規模だと普段は店頭に並ばない食材や食品が割とある気がしたのだ


「明日みんなに話してみるわ」

木乃香は横島の考えが気に入ったのか、明日クラスメートに話してみる事にする

まあダメで元々だし見た目の形の良し悪しで安いなら、それはいいアイデアだと思ったらしい


「そういえばこれどないするん?」

統一店舗の話が一段落した頃、木乃香は厨房の隅に置かれたホワイトボードに書かれた注文表を見ていた

実は横島には麻帆良祭期間中の注文が僅かだが入っている


注文があるのは茶道部からの和菓子や喫茶店を運営する中学生のとあるクラスからのケーキの注文などなのだが、件数が少ない割に数が多かった

具体的には和菓子が三百個とかケーキが十ホールとかである


「受けた分は作るよ。 夜に作るからそっちの店に影響はないと思う」

横島としてはさほど稼ごうとは思ってないのだが、割と早い時期に団体からの注文は入っていたのだ

元々店の営業は休むつもりだった横島だが、よく店に来る子からの頼みは受けていたのである

注文件数は少ないが量が量だけに木乃香は心配するが、横島としては最悪ハニワ兵を動員して作れば間に合うからあまり危機感はなかった



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