そのために地球側の各国魔法協会は強制的に戦時の指揮命令権を徴発する法律の撤廃を求めている

二十年前の魔法世界の大戦で地球側の魔法協会はこの法律により戦争に巻き込まれ多くの犠牲を出したゆえに、この二十年はこの法律の撤廃や本国との上下関係を見直すよう動きが出ていたのだ


「これの改正をエサにすれば向こうの魔法協会は割れるでしょう」

地球側の魔法協会が求めてる戦時の指揮命令権の問題だが、実は麻帆良だけは多少事情が違う

近右衛門の長年の努力により麻帆良ではメガロメセンブリアの勢力は存在してないのである

これは元々の原因が二十年前の戦争にまで遡るのだが、メガロメセンブリアはあの大戦時に麻帆良にも戦力を要求してその内容に神鳴流の剣士の部隊を要求していたのだ

メガロメセンブリアの基本スタンスは全ての魔法使いのまとめ役に居るのが自分達だという物であり、彼らの理屈では全ての魔法使いに命令権があると古い法律があったのである

その上で対人戦では最強クラスだと言われる神鳴流にも目を付けたのが始まりだった

しかし神鳴流は元々日本を守るのが使命の組織であり関西呪術協会との繋がりが強い為に、魔法世界の戦争への協力を当然拒否していた

その際にメガロメセンブリアは命令無視だとの理由で、本国の部隊で関西呪術協会と神鳴流とも戦争を始めてしまったのだ

当時麻帆良にはメガロメセンブリアの勢力がそれなりに存在しており、近右衛門が反対する中で本国は戦時の指揮命令権を盾に本国の部隊と麻帆良のメガロメセンブリアの勢力と共に関西呪術協会とも戦争をしたのである

その戦争はその後紆余曲折あったが、結果的には魔法世界での戦争集結に伴い停戦にこぎつける

その際に近右衛門は関西呪術協会と謀り、麻帆良からのメガロメセンブリア勢力の撤退を停戦の条件に停戦に合意していたのだ

当然メガロメセンブリア側は反発したが神鳴流を擁する関西呪術協会と地球側で戦うには些か不利だったことや、戦争の責任を完全なる世界に押し付けるには早期に停戦する必要があった為に仕方なく停戦にこぎつけていた

折しも戦争の影響で麻帆良とオスティアを繋ぐゲートが破棄された影響もあり、麻帆良の戦略上の重要度が低下したことも影響している

従って近右衛門と関西呪術協会は多大な犠牲を払いつつ日本からメガロメセンブリアの勢力を撤退させることに成功していたのだ


少し余談だが現在に至るまでも関東と関西の魔法協会の小競り合いが絶えない理由は、末端にある戦争時の憎しみもあるが表向きは争う姿勢を見せることでメガロメセンブリアの勢力が麻帆良に再び来ないようにする政治的な意味合いもあった



そんな訳で半ば独立してる現在の近右衛門には戦時の指揮命令権はあまり意味のない法律だが、他の地球側の各魔法協会は今だにメガロメセンブリアの影響力もあり戦時の指揮命令権の問題や独立を求める意見が後を絶たない

クルトは地球側の魔法協会の関係に亀裂を入れることで、関東魔法協会にネギの受け入れるように地球側で圧力をかけるように仕向けようとしていた