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平和な日常~春~

「面白いことになったな。 まさか俺が中学生のイベントに参加することになるとは……」

「楽しそうですね」

「まあな、学生に戻ったみたいでわくわくするよ」

超やあやか達が帰った後、夕映や木乃香達は突然の勝手な話に横島に謝らねばならないかと思っていたが横島は楽観的で楽しそうだった

ちゃんと考えて返事をしたのか不安になる夕映だが、今更ダメだとは言えないだろうしなんとか上手くやるしかないだろうと考え込む


「雪広グループは麻帆良祭の公式スポンサーなのよね。 だから毎回イベントを企画したりいろいろしてるのよ」

麻帆良祭はその規模の大きさからいくつかの公式スポンサーが存在する

中でも最大のスポンサーが雪広グループだった

元々麻帆良学園との関わりがあったようで、昔から麻帆良祭を支援していたようだ

近年は商業化も進み公式スポンサーも増えたが、雪広グループが最大のスポンサーである事実に変わりはない


「へ~、そうなんだ。 流石に金持ちのやることはでかいな」

「麻帆良学園は基本的に雪広グループとの取引が多いようですからね。 私達が使う体操着や制服から、学校の備品までほとんどが雪広グループの品です。 品物もいいですし値段もお手頃です」

あやかの思い切った提案に横島は、ふとかつての仲間を思い出していた

雪広グループはどこか前世界の六道グループを思い出させるのだ

そんな横島に夕映は補足とばかりに雪広グループと麻帆良学園の関係を説明するが、双方は昔から関係があったようでかなり親しい関係らしい


「横島さんもお金持ちっぽいけど、いいんちょは別格だからね。 場所やら食材をポンと提供しちゃうんだから」

常々横島の金銭感覚に疑問を感じていた明日菜だったが、あやかに比べれば普通だと感じている

クラスメートの軽いノリに合わせて場所やら食材を提供するなど、普通の感覚では理解出来ないのだから


「横島さんもこれで有名になれば、スカウトとか来るかもしれないですね」

どうやらのどかは横島を何かと不遇の人生を送って来たと勘違いしてるらしく、今回で認められれば有名レストランなんかを出せると考えたらしい


「有名になるのは興味ないんだよなぁ~ 女の子にモテるんなら歓迎だけど、この店は辞めるつもりないし……」

名誉や名声に全く興味を示さない横島にのどかや明日菜は驚きの表情を見せるが、夕映と木乃香は割と予想していたようだ


(毎日楽しく生きたい人やからな~)

横島の価値観は木乃香から見て楽しめるか楽しめないかのどちらかである

お金や名声や名誉よりも日々の楽しさを選ぶ横島に、木乃香は僅かな憧れを感じていた

どこか頼りないように見える横島だが自分や周りが楽しめることを優先する生き方は、きっと楽しいのだろうと木乃香は思うのだ

なまじ優秀に見える横島がその生き方をすると、人間関係が厳しい現代では理想にも見えるのかもしれない


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