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平和な日常~冬~5

「こうしてると年末年始に海外に行く人の気持ちが分かりますね。」

「本当だね。」

南国とはいえこの季節はさほど暑くはなくどちらかといえば過ごしやすいくらいだ。

夏に海に行った時より涼しくこの日は朝から天気がいいので海に入れる程度の気温はあるが、暑いというほどではないのでどちらかといえば砂浜で日光浴してる方が心地いい。

木乃香・夕映・のどか・ハルナ・夏美の五人は先程からビーチチェアで昨日ゲットした本を読んでいて、ちょっとリッチな気分を満喫している。

砂浜はハニワ兵達で賑わってはいるが、日本の海水浴場のように混雑してる訳でもない。

あまり人気がないと寂しく感じるかもしれないが、その点ここはちょうど良かった。


「焼きそばの匂いが何とも言えないわね。」

「南国に海の家ですか。」

一方雪広姉妹と千鶴はまるでプライベートビーチのような自然豊かな景色を気に入ったようであるが、そうなると南国に相応しくない純和風の海の家が少し気になるのが本音のようだ。

時々風に乗って流れてくる焼きそばやラーメンの匂いが何とも言えず、景観を台無しにしてるように見えなくもない。

尤も海外旅行に慣れてなかったり行ったことがないメンバーはさほど違和感を感じてなかったが。


「タマちゃん大丈夫?」

「うん!」

そして海に入っていたタマモとさよと美砂達は近くにいたハニワ兵と共に海水浴を楽しんでいて、ハニワ兵が操縦する水上バイクに乗せてもらったりバナナボートを引っ張ってもらったりと楽しげに騒いでいる。

タマモとさよは元々はハニワ兵と暮らしていたので慣れているが、桜子もすでに同じくらいハニワ兵に慣れていて近くに居る知らないハニワ兵に対してもフレンドリーだった。

水上バイクに乗せてもらったのも桜子が普通に乗せてと声をかけたからである。


「そういや学園長先生達と一緒に行かなかったな。 証拠見たかったんだろ?」

次に横島とエヴァだが、横島とエヴァは何故か海の家にあった囲碁セットを借りてして対局していた。

体育祭以降横島が結構忙しくてゆっくり対局する時間がなかっただけに久しぶりに対局することにしたらしい。


「もういい。 よく分かった。」

近くでは高畑と刀子が気や魔力のコントロールの基礎トレーニングをしているが、刀子は横島とエヴァの関係に興味があるようであまり集中出来てなかった。

そんな中横島はふとエヴァが来た目的を思い出したようで、近右衛門達と一緒に視察に行かなくて良かったのかと尋ねるもエヴァは流石にもういいとしか言いようがない。

アシュタロス関連の確証はまだ見てないが、ここが魔法球でないことは理解してるし人の居ない異世界を自由にしてるだけで最早疑いようがないのが現状である。


「口で説明して信じろってのが無理だよな~。 俺なら絶対信じないわ。」

エヴァは半ば諦めたように賭けの話をするのかと様子を見ていたが、横島は賭けの話はせずに信じなかったエヴァは当然だと笑っていた。

なんというかまるで他人事のような横島がエヴァは少し不思議に感じるが、横島が変なのは今更なので軽く聞き流すことにする。


「貴様は怖いな。 人はもっと無駄に足掻くものだ。」

「俺も足掻いてるって。 泥にまみれながら地べたに這いつくばってな。 ただ、出来ないことを出来ないって認めるのも必要だと思う。 まあ頼りになる味方が居ればこそってことなんだろうけど。」

正直エヴァは横島が怖いと始めて感じそれを素直に認めていた。

横島の直接の力は未だによく分からなかったが、異空間アジトとハニワ兵の力がどれだけかは想像に難しくない。

一見すると無駄や滅茶苦茶な行動が多く見える横島が結果的には近右衛門達を動かしてるのだから、エヴァが自分とは異質の怖さを感じるのは当然だろう。


「まあ、本音を言えば俺は出来るだけ楽をしたいんだよ。 興味のないことは特にな。」

そんな横島の恐ろしさを痛感するエヴァに横島は少し間を開けてから本音は楽をしたいだけだと語るが、それが魔法世界絡みの厄介事なのだとエヴァはすぐに理解していた。
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